映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

スティーブン・ソダーバーグ監督「トラフィック」758本目

むずかしかった。こういう風にパラレルで進行していく映画って、スリリングで好きなんだけど、この映画は苦労しました。3回見た。 「麻薬取引の目撃者」のストーリー(画面が比較的自然な色合いのやつ)は、誰がずっとストーリーを牽引する人物なのかわから…

成島出監督「八日目の蝉」757本目

良かった。エンジェルホームと写真館の演出がやりすぎだったけど、良かった。テレビ版(壇れいと北乃きい)がすごく良かったので、今更見ても…と思ってたけど、こっちもすごく良かった。むしろ、テレビ版はCMのような秒単位の起承転結が多くて、すこし演出過…

ルイ・マル監督「プリティ・ベビー」756本目

この手が好きな人には堪えられない映画でしょうね。 12歳のブルック・シールズは、あどけなく崇高に美しいです。 ただ、同年代で同じく少女娼婦を演じたジョディ・フォスターのようなプロ意識や成熟が彼女には感じられず、”普通だから良い”というのがこの…

スティーヴ・ベンデラック 監督「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」755本目

イギリス人はフランスのことをこう思ってるのか〜。 特に音楽。内容と関係なくアンニュイなかんじ。 しかし「男と女」からもう50年近くたってるわけだし、全体的に昭和の香り(外国だけど)が漂っています。 ギャグはおおむね「予想通り」の展開で、テレビ…

ピーター・ウィアー監督「いまを生きる」754本目

原題がいいのに邦題はわりあい印象薄いですねー。(「The Dead Poets' Society」というのが原題です。) ロビン・ウィリアムズ先生はいつものように人情派。 学生たちの中には、まだ初々しいイーサン・ホークがいたりします。お堅い学校の子ども達にも、自由…

熊井啓 監督「黒部の太陽」753本目

大作かつ力作。三船敏郎ってやっぱりカッコいい。 石原裕次郎は、無鉄砲な若者役から大人のリーダー役への移行期間中、といった感じ。昔の労働集約的な現場や大規模工事の犠牲者の数の大きさ(170余名だそうです)は驚きだったけど、昔も今も、現場で真剣に…

ゲオルギー・ダネリヤ 監督「不思議惑星キン・ザ・ザ」752本目

この映画おもしろすぎる。 たいがいのアメリカ製のコメディより爆笑できました。 南の国から来たバナナの箱の中に入ってた猿といわれて、チェブラーシカを想像する国の人たちですから、世界観の違和感は半端ないです。「めずらしいものに出会う」という映画…

ヴェラ・ヒティロヴァ 監督「ひなぎく」751本目

へんな映画だった。可愛い女の子二人が、これでもかこれでもかと、少女なりの破壊のかぎりを尽くす映画だった。そこまでやるか?と違和感を感じたんだけど、そういう違和感には意味があることが多い。 この映画がつくられた1966年のチェコスロバキアは、ちょ…

セルゲイ・パヴィッチ監督「ホドロフスキーのDUNE」750本目

わたしはスティングが出てるDUNEも、それなりに楽しく見た記憶があるんだけど、当時もあの映画は激しくバカにされてた気がします。映画のなかで何度も出てくる「DUNEバイブル」は、そのまま豪華革張り本として発売して、それだけを学ぶ1年くらいのコースを…

セルゲイ・パラジャーノフ「スラム砦の伝説」749本目

生けにえになるために生まれてくる子ども、生けにえを捧げるためにしつらえた広場と門。 最初は時間がランダムに流れているようだけど、徐々に1点に向って流れているのがわかってきます。この映画に出てくる人たちも、ほんとうに美しいです。そしてこの映画…

セルゲイ・パラジャーノフ「アシク・ケリブ」748本目

予想してたけど強烈な映画だった。 フリーダカーロみたいな、眉毛がつながったお姫様と、同じく眉毛がつながった英雄アシクケリブ。 それにしても、このグルジアの人たちの美しさといったら。 どういうふうに混血したらこの容貌が生まれるんだろう?明快なス…

ラッセ・ハルストレム 監督「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」747本目

デジタルリマスター万歳。 DVD化されたことのない過去の名作が、全部そうやってよみがえればいいのに。とっても温かく前向きな、不幸なこどものお話でした。タイトルだけずっと知ってて、没落貴族か薬物中毒患者のお話だろうくらいに思ってたので、かなりや…

フランク・ダラボン 監督「ショーシャンクの空に」746本目

映画を見始めた時期は、どれを見ても新鮮な感動があって、毎日楽しかったけど、最近は最後まで見る前に飽きてしまうことが増えてました。そんな中で久しぶりに、あらゆる面で本当にいい作品だったので嬉しい。主人公アンディの寡黙で冷静な個性がとてもおも…

前田司郎 監督「ジ、エクストリーム、スキヤキ」745本目

この映画なんとなく好き。 じんわりと来るいい映画なんだけど、なんともいえないマイナー感がただよっています。商業的な大ブレイクとか絶対なさそうな感じ。なんだろう、この懐かしいような感じ…と思ってみてみたら、横道世之介の脚本を書いた人なんだな。…

森崎東監督「ペコロスの母に会いに行く」744本目

何度もポロポロ泣きながら見たんだけど、その半分かそれ以上は、映画を見ることで、自分が今まで生きてきたことがよみがえってきたからで、そういう割合は年を重ねるほど多くなってくるもんだと思う。ボケることもいつか死ぬことも、年を取ってくるとだんだ…

ニコライ・ミューラーショーン 監督「レッド・バロン」743本目

いい映画でした。 戦場もの、しかも事実に基づくドキュメンタリー。でも、敵のエースの墓に戦闘機から花束を落とすというエピソードから始まることで、若くて端正なパイロットたちがロボットなどではなくて生身の若者たちだと感じられて、見る人は親しみを感…

山田洋次監督「息子」742本目

永瀬正敏のチンピラっぽさってほんとにいいな。 三國連太郎がさえないじいさんを演じてるのも、うまい! ろうあ役の和久井映見と結ばれて、本当によかったと見ている人たちは感情移入できると思う。最後に老父が岩手の家で暮らして行く孤独を苦く見せるのは…

ロバート・ロドリゲス監督「マチェーテ」741本目

スカッとするなぁ! 園子温「地獄でなぜ悪い」の兄弟映画?(こっちが兄)って感じです。 おバカで大味で大げさでペーソスもへったくれもなく、あるわけねーだろ!という、ほとんどギャグな暴力に次ぐ暴力。実にペースがいい。一瞬たりとも観客を退屈させま…

原田眞人 監督「わが母の記」740本目

見たかった映画だし、しずかに流れる自然な時間がよかったし、最後は自分の生きてきたことに想いを馳せてじんわりと泣けたんだけど、なぜか途中で何度も見るのを止めそうになった。うたた寝したり退屈してしまったり。樹木希林の演技はほんとに素晴らしい。…

神代辰巳 監督「ミスター・ミセス・ミス・ロンリー」739本目

BSでやる企画ものの2時間ドラマ、という感じのボリュームと存在感。他愛ないストーリーで、もしかしたら”よくない作品”なのかもしれないけど、原田美枝子、宇崎竜童、原田芳雄、この3人があまりにも魅力的で、リアリティのないふわふわとした少女と彼らとの…

山下敦弘 監督「もらとりあむタマ子」738本目

この子ほんと浜ちゃんに似てるなぁ。 前田敦子っておもしろいなと思って見てみました。ダラダラなタマ子の演技、味があります。が、彼女に限らず、この映画全体がどうも詰めがあまいかんじがします。あと10%、ダメだったらもっといいのに。お父さんの怒りの…

ノーマン・ジュイソン 監督「オンリー・ユー」737本目

うーむ。マリサ・トメイってきれいだけど演技が不自然。ロバートダウニーJrは個性がはっきりしてるけど… なんか、この主役の二人が仕事で出会って恋に落ちるための映画だろうかという感じでした。