映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

熊切和嘉 監督「空の穴」1133本目

ロードムービー、ではなくてドライブインに女の子が住み着く話。 でも定住感がまるでない。人はドライブインに立ち寄っては道の先を急ぐ。 ふしぎな心地よさは、PFFスカラシップ作品だけど、うまく作られているからじゃないかと思います。 菊地凛子(このこ…

アイヴァン・ライトマン 監督「ゴーストバスターズ」1132本目

1984年の公開初日に、歌舞伎町のシネマで立ち見して以来、31年ぶりに見ました。 上京して初めて見に行った映画。 今見ても最初からお化け屋敷みたいで楽しい!初めて見たときの気持ちを思い出して、なんともいえず嬉しくなります。今見るとおもちゃみたい…

山田洋次 監督「馬鹿が戦車でやって来る」1131本目

1964年作品。不思議な映画だなぁ。船に乗り合わせた人たちと船頭との呑気な会話と、割合イヤな貧乏人いじめの話と、最後に追加されてる、見た人の気持ちをフォローするような後日談。 ストーリーを把握した上でもう一度通して見たら、この映画のおかしみがわ…

想田和弘 監督「精神」1130本目

「観察映画」。これは、いいと思う。 ドキュメンタリーでも、監督の恣意がすごく感じられるものって多い。本当のことを、手を加えずに伝えるにはどうすればいいか?とこの監督は考えたんだろうな。 以前ホームヘルパーの実習に行ったときのような、父のグル…

塚本晋也 監督「六月の蛇」1129本目

2002年、いまから13年前の作品。 白黒、というよりブルーブラックの画面が金属的で、一種の美しさがあります。 黒沢あすかがとても綺麗だけど、超地味な女性が思い切りセクシーになる、というこの設定は、ちょっと”男のロマン”っぽいなぁ、女性のセクシュ…

ピート・ドクター監督「インサイド・ヘッド」1128本目

友人たちの前評判がよかったので見てみた。面白かったけど、「深い!」とまでは思わなかったなぁ。 小学生くらいの、自分のなかのモヤモヤが理解できない子供には、いいガイドになるかなと思う。 ライリーはこれから、怒りや、映画にまだ出てきてない憎しみ…

北野武監督「龍三と七人の子分たち」1127本目

あんまり私はピンとこなかったです。 わりと期待してたんだけど、期待が的外れだったかな? ジジイたちはカッコイイけど、びっくりするような展開も特になく、ジジイであることだけに頼ったギャグが多くて。 これが漫才とか漫談とかだったら、舞台にほんもの…

サム・ウッド監督「誰が為に鐘は鳴る」1126本目

1943年、原作が刊行されてすぐ作られた映画です。原作がどれほど売れたか、想像できますね。 ヘミングウェイがどういう人物だったのか、ずっと考えてるんだけど、性的で暴力的な”男のサガ”と、知的で冷静で気弱な部分とが常にせめぎあっている複雑な人という…

スタンリー・キューブリック監督「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」1125本目

1963年作品か。 キューブリック作品の完成度は、制作年代を感じさせません。白黒なのに。たぶんいつ見ても最新テクノロジーだと思うんじゃないだろうか。 この映画を見るのもたぶん3回目だけど、新鮮で気味悪くて、やっぱりすごい。 ピーター・セラーズって…

山下敦弘 監督「ばかのハコ船」1124本目

うんざりするくらいダメな男と女。 アキ・カウリスマキね。なるほど。 途中だらっとしたところも、この映画には必要なんだろうな。 みんなに囲まれてごまかしきれず空気がプシュー、とか、最後の最後とか、声を出して笑ってしまいました。 なんの教訓もカタ…

舩橋淳 監督「桜並木の満開の下で」1123本目

2012年の作品。 よかったです。 臼田あさ美が、幸せだろうが不幸だろうが、一生懸命すぎずどこかいつでも受け身な女性をいい具合に表現してます。三浦貴大の、逆に一生懸命すぎて内側で熱が空回りしてる感じも。 惹かれ合うことも、いっしょになれないことも…

アレクサンダー・マッケンドリック 監督「マダムと泥棒」1122本目

1956年の作品。 コーエン兄弟の「レディ・キラーズ」の元作品。あのマニア兄弟がリメイクするほど惚れ込んだのはどんな作品か、ずっと見たかったんです〜。レンタルしてない作品なので、テレビで見られてほんとうに嬉しいです。老婦人は時代も時代なので、ほ…

塩田明彦 監督「カナリア」1121本目

2004年の作品。 冒頭、言葉による背景説明があって、いまどき珍しいなぁ、ビジュアルだけですべてを語ろうとする監督が多いのに、と思ったけど、説明はそこだけで、あとは登場人物が語ってくれました。・・・そうか、この映画は、オウム事件の逃亡指名手配犯…

ジョン・グレン 監督「007/オクトパシー」1120本目

1983年の作品。インドの街中で現金をばら撒くと、人々がそれに群がる、とか、半裸の野蛮な現地人が襲ってくるとか、カメラを持ったイギリスからの観光客が大勢船から見てるとか・・・なかなか庶民的なエンターテイメントですね〜。 ダニエル・クレイグ時代の…

ランダル・ウォレス 監督「仮面の男」1119本目

1998年作品。 17年前かぁ。その後デカプリオはすっかりいいおっさんになって、三銃士は老人めいてきたな。 この頃のデカプリオは純真な若者と酷薄な悪党の両方の顔を演じられる青年で、この役にはピッタリ。 三銃士のマルコビッチ、ドパルデュー+1も渋くて…

ロバート・ムーア監督「名探偵登場」1118本目

1976年の作品。 絶対イギリスの、BBC用に作られたテレビ映画だと思ったらアメリカ映画ですって?本当?? ストーリーやトリックはなんだか無茶苦茶だけど、こういうビートルズ映画やモンティ・パイソンみたいな映画、イギリス人がいかにも好きそうだと思った…

若松孝二 監督「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」1117本目

スペインの「サン・セバスチャン映画祭」で上映される日本映画をかたっぱしから見るという企画、これでいったん最後です。フィナーレを飾るのにふさわしい力作でした。知らない人はいない「あさま山荘事件」は、そこに至る前の時間のなかで行われてきたこと…

ジェームズ・マーシュ監督「博士と彼女のセオリー」1116本目

いい映画だった。 何かが解決したわけでもないし、現実はこのまま続いていくんだけど、みんなそれでいいんだ、と暖かい気持ちになります。耳の外のどこかから、倫理を責める声が聞こえるような気もするけど・・・。 ホーキング博士という頭脳がずっと生きて…

ジム・ジャームッシュ監督「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」1115本目

バンパイア映画といっても、いろんな仕掛けがあるもんだ。 この映画はとにかく、世紀末的でデコラティブな美術と、ハードで重めの音楽の完成度が高くてユニーク。 なんとなく、アダムとイヴのキャラクターが素敵で、もっと見ていたい気持ちになってきます。 …

グザヴィエ・ドラン監督「胸騒ぎの恋人」1114本目

インパクトは「マイ・マザー」「トム・アット・ザ・ファーム」には敵わないけど、独特の美意識に満ちた作品でした。愛する彼の母親を、「マイ・マザー」の母が演じてます。この映画ではアンドロイドのような、ドクター・スポッックの乳母のような服装をした…

蔦哲一朗 監督「祖谷物語 おくのひと」1113本目

よかった。 監督が河瀬直美なのかと思ったら、監督してなくて出演してた。 彼女の映画よりわかりやすくて、落ち着いて見られる。 昔話みたいに美しい山肌とか里の野とか、見ているだけでいい空気を吸ってるような気分です。 「千と千尋の神隠し」の実写版、…

行定勲 監督「パレード」1112本目

ありがちなトレンディドラマのような設定で、セリフや空気も心地よくけだるく作ってあるのに、最後の最後だけ唐突にアンチクライマックス。なんか嫌だな、こういうの。騙すことだけが目的みたいで。誰にも陰がなくて伏線も予感もない。小出恵介がの先輩の彼…

廣末哲万 監督「14歳」1111本目

かつての14歳といまの14歳が交錯するテーマには共感するけど、ちょっと間が多すぎて集中力が続かなかった。役者さんたちがあざとくないのは心地よいんだけど、あまりに棒読みで。 結局、14歳がどういう想いなのかというイメージが湧くところまでたどり…

李相日監督「BORDER LINE」1110本目

「悪人」で大いに感動した李相日監督の、初期の作品。 ちょっと構成が複雑で、すぐ筋を見失ってしまって、解説を読みながら見ました。 父を殺した、父が殺された、父が死んだ、といった言葉を、本当と嘘を織り交ぜて何人もの人が口にするので、あれ、この子…

黒沢清監督「アカルイミライ」1109本目

他の人たちの感想を読むとおもしろい。 かなり、人によって解釈が違う映画です。 クラゲは「自分」ともいえるし「若者」ともいえる…私にはクラゲが「夢」とか「未来」、キラキラして明るくて強いもの、に見えました。猛毒だし飼うのは面倒だし、死んじゃっ…

青山真治監督「サッドヴァケイション」1108本目

浅野忠信は、堕ちた男を演じることはできるけど、役所広司のような業の深さが出ない。 だからやっぱりユリイカのほうがよかったなぁ。高良健吾は、底なしの善人も、どっかがとんがってる異常者も、同じように演じきるところがとても良いと思います。石田えり…

青山真治監督「EUREKA ユリイカ」1107本目

「共喰い」もすごい映画だと思ったけど、これはもっと大名作だった。見てよかった。 3時間半という長さがまったく苦になりません。 セリフが少なく、淡々とした映画で、説明的な場面も全然ないんだけど、構成がうまいおかげでちゃんと意味がわかるし、場面変…

諏訪敦彦 監督「H story」1106本目

私、諏訪監督の長編映画みるの初めてだ。<以下ネタバレ>下手なドキュメンタリーだったらどうしようと思いながら最後まで見たら、ドキュメンタリーふうのメタメタな構成の映画でした。監督は新しい手法に関心のある頭脳派なんだろう。 しかしここまで元ネタ…

藤原敏史 監督「無人地帯」1105本目

こんな映像を撮ってあったんだ。 ひたすら淡々と311の「41日後」あたりの生々しい被災地の映像、被災した人たちの言葉を流します。 何もなくて、記録として良いドキュメンタリーだと思ったけど、インタビュアーが少しだけ、ちょっと前のめりで力んでる…

廣木隆一 監督「ヴァイブレータ」1104本目

寺島しのぶ、きれい。 顔の肌もとってもきれいだけど、体もすみずみまできれい。 これほど女性の肌を美しく撮れるのは女性監督かしら、と思ったら、ピンク映画出身なんですね。で、原作が女性。なるほど。あと、トラックが走っていく夜明けの道が美しすぎる…