映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アメリカ映画(80年代まで)

オーソン・ウェルズ監督「市民ケーン」2810本目

「マンク」を見たらこれも見たくなるでしょう。 まさかあんなに室内は暗くないだろうと思ってたら、記憶の数倍、暗かった。誰が誰だかわからない暗さ。まさに「マンク」ではそれを再現してたんですね。(しなくていいのに、見づらいから)これほど暗い画面は…

ルイス・サイラー 監督「男性都市」2789本目

原題「ピッツバーグ」が邦題「男性都市」。工業都市ピッツバーグは、主役の名前でもある。彼=町の名前、ということで「男性都市」になったのかな。無理やりっぽい~~ タイトルバックはドキュメンタリーみたいな工場の稼働風景。会社のお偉方たちが役員室で…

ルネ・クレール監督「そして誰もいなくなった」2788本目

<ネタバレあり> アガサ・クリスティの名作のひとつと数えられる原作を、出版(1933年)の12年後の1945年にアメリカで映画化したもの。クリスティはかなり読んだけど、書かれたのと近い時代の映像は初めてだし、「テン・リトル・インディアンズ」のメロディ…

プレストン・スタージェス監督「殺人幻想曲」2776本目

<ネタバレあり> これは原題も邦題もいいな。原題は「Unfaithfully Yours」、手紙に最後に書く「Faithfully Yours」をもじって、夫婦の間の不誠実(の疑い)を表してる。邦題は、指揮者の夫の妄想「殺人幻想」と「幻想曲」(というジャンルがちゃんとあるら…

ポール・モリセイ監督「処女の生血」2775本目

センセーショナルなタイトル。(原題は「ドラキュラ用の血」) アンディ・ウォーホールが監修したとか。どこを?若者のキャスティングに自分のお気に入りを推薦した?そのジョー・ダレッサンドロ、マッチョで涼し気な面持ちで男にも女にももてそうです。 と…

ジョン・ブアマン監督「未来惑星ザルドス」2769本目

タイトルからして「未来世紀ブラジル」や「不思議惑星キン・ザ・ザ」の仲間に違いない。冒頭から明らかに変な頭だけの神様のようなものが、ラピュタのように空に浮かんでいるし。その頭を被って裸みたいな恰好で戦う未来の人々。その中に立派な面持ちのショ…

ロマン・ポランスキー監督「吸血鬼」2740本目

タイトル素敵じゃないですか。MGMのライオンが途中からイラストの吸血鬼になって、その牙から垂れた血液が上へ流れていくタイトル文字にずっとポタポタと落ちていく。文字そのものも、ティム・バートンのアニメみたい(こっちのが古いけど)な手書き文字。ポ…

エドワード・セジウィック監督「キートンのカメラマン」2720本目

活動写真はあってもスチル写真のカメラをまだ一般の人は持ってない時代だったんだな。1928年は昭和3年。記念写真屋のキートンは、いっぱしの報道カメラマンを目指して事件を追いかけますが、まぁ喜劇なんで「これはないだろう」というような失敗続き。 ジム…

バスター・キートン監督「海底王キートン」2719本目

1924年は大正13年。あまりに昔で当時のアメリカの文化が想像できないけど、ノリが今と変わらなくて不思議。「全然笑えない」と感想を書いてる人も多いけど、古すぎてわからないというより、今はもう使い古されたってことかなと思います。すぐ女性が気絶する…

ラズロ・ベネデク 監督「セールスマンの死」2700本目

終身雇用ってものに縁がないアメリカのセールスマン。たいがいの人が、年を取れば商売のカンも鈍る。息子たちが一人前にならないうちは、それでも自分が真剣に稼がなければならない。妻の性格が良すぎて、そんな夫に明るくやさしい。 だんだん見ているうちに…

セルジオ・レオーネ監督「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」2696本目

<ネタバレあり> この映画は上映まもなく見たはず。ジェニファー・コネリーが大きくなったらエリザベス・マクガバンになるのが納得いかなかった。怖くて悲しい映画だったなという記憶はあるけど、デニーロだしギャングだからぜったいシチリアマフィアだと思…

マイク・フィギス監督「リービング・ラスベガス」2689本目

この監督の作品は初めて。ニコラス・ケイジがしょっぱなからアルコール依存症の借金魔で、この最低な男をこれからどうするつもりだ、という気になります。 彼が出会ったチャーミングな娼婦エリザベス・シューの元締めはジュリアン・サンズ。「眺めのいい部屋…

ロマン・ポランスキー監督「ポランスキーの欲望の館」2687本目

イタリア資本があったのでイタリアふうのエロティックコメディを作ろうという趣向だったのか。タイトルとジャケットを見ると、おどろおどろしい老人が次々に若い女性をいけにえにするような映画化と思ったけど、原題は「何?」だと聞いて、もっと軽くてチャ…

リチャード・フライシャー監督「海底二万哩」2686本目

この監督の作品、意外と見てました。「ソイレントグリーン」は覚えてるけどあとはあまり記憶にない…。この映画は1954年なのでセンスが古くても当たり前なんだけど。「ロリータ」や「邪魔者は殺せ」のジェームズ・メイソン、「M」や「罪と罰」の癖のある悪役…

スタンリー・クレイマー監督「おかしな、おかしな、おかしな世界」2679本目

「おかしな」は「mad」なんだ。笑える!というんじゃなくて、どうかしてる、金の亡者になっちゃってる、というニュアンスかな。 CGもない時代なのに危険をかえりみないアクションの連続、バラエティに富んだ登場人物…と楽しいけど、あまりに人間ドラマがなく…

マイケル・アンダーソン 監督「80日間世界一周」2668本目

コロナのせいで世界一周に出かけられなかった腹いせじゃないですが、見てみることにしました。186分もあります。 「イントロダクション」という最初の章ではメリエスの「月世界旅行」やロケット打ち上げがゆっくりと収録されていて、なんとなくディズニーラ…

デヴィッド・エアー監督 「スーサイド・スクワット」2595本目

ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」は置いとくとして、「ハーレイ・クイン」を見る前にこれを見ておこうかなと思って借りました。小粒な映画かと思ってたけど、意外と面白いですね。全体的な暗さがゴッサム・シティらしくて味があります。「エンチャン…

デイヴィッド・クローネンバーグ 監督「ザ・フライ」2593本目

森高千里の「ハエ男」の元ネタ? タイトルや宣伝ビジュアルを見る限り、良くて昔の大映映画、悪いとアメリカの70年代くらいの低予算のどうにもならないヤツしか想像できないのに、感想を見るとそうそうたるレビュアーの皆さんがこぞって高く評価している。い…

レオ・マッケリー監督「邂逅(めぐりあい)」2583本目

この作品は1939年。冒頭の「an RKO Radio Picture」っていう、地球に電波塔が立ってるタイトルロゴがキッチュで素敵。このあと1957年にケイリー・グラントとデボラ・カーで監督自身が撮りなおしてて、そっちも高評価。その後にも映画化されてて、不朽の名作…

ジョン・バダム 監督「ブルーサンダー」2580本目

ブルーサンダーというのは、警察ヘリの最新型。ヘリってかなり低く飛べるので、犯人追跡とかもやってしまう。主人公はこのヘリのパイロット。出世に興味のない無頼派で敵も多いが腕が立つ。 彼の前に現れるのは、過去に失態を犯したもと同僚。その男が彼を消…

レオ・マッケリー監督「我が道を往く」2570本目

この監督は私の大好きなマルクス兄弟「我輩はカモである」や、私の大好きなハロルド・ロイドの「ロイドの牛乳屋」とかを撮った監督じゃないですか。ほかにも何本か見てるけど、テンポのいい毒のない笑いで、好きな作品が多いので、期待してしまいます。 劇中…

ジェリー・シャッツバーグ 監督「哀しみの街かど」2569本目

日本ではこれがアル・パチーノのデビューなのかな。ちょっとキャラ濃いけどまだ若いチンピラって感じです。真面目で一途な表情で人をじっと見るんだけど、どうも真っ当に生きていくように見えないのが彼の特徴です。だけど優しいので、若いヘレンは彼をだん…

フリッツ・ラング監督「復讐は俺に任せろ」2568本目

フリッツ・ラングのアメリカ時代の作品って、ハードボイルドっぽい流行りもののサスペンスにどんどん寄っていくなぁ。粗製乱造という感じではなくて、クールさとスリルが一貫しています。私わりとこの手、好きなんですよね。毎週金曜の夜とかに帯ドラマでや…

クリント・イーストウッド監督「アイガー・サンクション」2566本目

アイガーといえばスイスアルプスの超絶、登頂が難しい山ですね。(特に北壁) なぜかそこを舞台に制裁が行われる映画なのですが、舞台はほとんどアリゾナ州のモニュメント・バレーです。ここって本当によく映画で使われますね!(スイスロケお金かかるんだろ…

フリッツ・ラング監督「マンハント」2563本目

102分の短い作品なのに、一人のイギリス人男性の、彼の人生における重大な局面のサバイバルが濃すぎて、3時間くらいの大作のような感じがします。 第二次大戦の開戦前、ドイツ某所でヒットラーを銃撃しようとしたイギリス人が捕まります。本気じゃなくて、ス…

アンソニー・アスキス監督「予期せぬ出来事」2559本目

1963年の作品。面白かったです。ロンドンの空港からマイアミへ発とうとしている「VIPたち(これが原題)」つまり今でいう上級会員(この頃は著名なら顔パスだったみたいだけど)の客の人間模様を、元々彼らが抱えていた問題と、霧による遅延・欠航という事件…

フランク・ペリー 監督「泳ぐひと」2557本目

バート・ランカスターこのとき50代だけど、最初から最後までずっと水着姿でした。ひたすらプールを泳ぎたがる男の映画と聞いていて、なんとなく成りゆきも結末も見えてたけど、本当にそれだけの映画を作ったんだ!というのが面白いし、感想を読むと、町山氏…

ミロシュ・フォアマン監督「ヘアー」2556本目

すっごいサイケでヒッピーな映画! ファンカデリックのCDジャケットみたいなヒッピーたち。長髪を切って軍隊に入るという「ヘアー」か。なんかそういう歌あったな。就職が決まって髪を切るとか…(cf.「いちご白書をもう一度」1975年) 思い切り反戦的で反体…

ジュリアン・デュヴィヴィエ 監督「アンナ・カレニナ」2552本目

ヴィヴィアン・リー主演のやつです。クラシックの名作だけど私が先に見たのはキーラ・ナイトレイのごく最近のやつだけ。ヴィヴィアン・リーのほうが業の深さを体現してくれるのではないかと期待。 作りが1948年らしい、なんというか「まじめな」流れなので、…

チャールズ・ヴィダー 監督「カルメン」2550本目

リタ・ヘイワースといえば、米兵が兵舎の部屋の壁にピンナップを張り付けてるというイメージ。これは第二次大戦後すぐの1948年の作品。彼女はブルネットの色白でぶっちゃけジプシーには全然見えないし、フラメンコはスペイン人が見たら怒るだろうという適当…