映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨーロッパ映画(80年代まで)

イングマール・ベルイマン監督「魔術師」2464本目

馬車が木立の向こうから走ってくると、その背後から夢のように美しい陽射しがさしこんでくる。印象的な場面だけど私でも知っているスヴェン・ニクヴィストの撮影ではないようでした。 マックス・フォン・シドーが若い上に「髪を黒く染めて付け髭をつけている…

ルネ・ラルー監督「ファンタスティック・プラネット」2462本目

目の赤い、なんか怖いキャラクターのこの映画、ずっと気になってましたが、コロナがらみのAmazon経由シネフィルWOWOW無料ということで見てみました。1973年の作品なんですね!なんとなくモンティ・パイソンのつなぎアニメみたいな品質とテイストなのが納得で…

ジャック・ベッケル監督「モンパルナスの灯」2460本目

これを借りた理由は多分、宝塚の「赤と黒」を見たからだ。以前見たジェラール・フィリップ主演の「赤と黒」は宝塚にはあるまじき悪党の物語なのに、それを忠実になぞりつつ清く美しい宝塚流にちゃんと完成していた先日の公演はなかなか素晴らしくて、改めて…

ジャン・リュック・ゴダール監督「女は女である」2438本目

なんか、納得しました。 ゴダールって女のことをちっとも理解してないけど、その美しさや優雅さに心酔してとりこになっていた、ある意味フェミニストなんじゃないかな。アンナ・カリーナにしれっと「みんな私の言うことを聞くわ、だってわたしは、とても、き…

ルキノ・ヴィスコンティ監督「若者のすべて」2437本目

ダメだ、この映画苦手…。 イタリア人のおばちゃんと息子たちとその女たちが、ずーーっと怒鳴り続けてるのを聞いてるのがツラくて。どん底まで不幸な映画はほかにもあるけど、私はこういうのダメなんだ。 ルキノ・ヴィスコンティは、アラン・ドロンをはじめと…

デイヴィッド・リーン監督「ライアンの娘」2434本目

ライアンってアイルランドの典型的な名前なのかな。「Ryan Air」って格安航空が有名なのは、この映画にちなんだものなんだろうか。 この映画は巨匠(作る映画すべて大作という意味でも)デイヴィッド・リーンが力を込めて作ったもので、アイルランドの荒っぽ…

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督「ベロニカ・フォスのあこがれ」2417本目

今なかなか見られないレアものです。某図書館で借りました。 「マリア・ブラウンの結婚」も面白かったけど、こっちは最初からなんだか異形な映画です。全盛期を過ぎた女優が中心ということで、当然思い出すのが「サンセット大通り」ですが、あちらはきちんと…

イングマール・ベルイマン監督「叫びとささやき」2410本目

ちょっとホラーでしたね! 「叫び」は死に至る病を得た長女が絞り出すもの、「ささやき」は病人をおもんばかって妹たちと召使いが、声すら出さず息だけで話す音。ベルイマンの映画は最初に「沈黙」を見て、カメラがあまりに女優たちに寄ってるのに度肝を抜か…

ジャン・ヴィゴ監督「アタラント号」2409本目

何度も見逃したけど、結局近所の図書館のAVコーナーでレーザーディスク(!)でやっと視聴(注:今は令和2年)。さすがLD、映像きれいでしたよ(棒読み)冒頭にメイキングも入ってたし。 で内容ですが、ぼんやりと評判を見聞きしてたときは、猫の出てくる若…

シドニー・ルメット監督「その土曜日、7時58分」2404本目

(ほぼネタバレあり) 在りし日のフィリップ・シーモア・ホフマン、今よりちょっと若いイーサン・ホーク。兄のアンディ(ホフマン)が弟のハンク(ホーク)に宝石店強盗を持ちかける。もちろん普通の素人。なんか痛い、いやな予感がします。サングラスと付け…

ジャック・イヴ・クーストー &ルイ・マル監督「沈黙の世界」2399本目

深海探索のドキュメンタリー映画です。なんでルイ・マル?ジャケット写真ほど映像がキレイではない、深海の実態を淡々と撮影して報道するかんじの映画でした。1956年だから、全編天然色の深海映像を撮っただけでもすごいと思うけど、2020年の私はほとんど潜…

ルイス・ブニュエル監督「自由の幻想」2390本目

やけに好きなルイス・ブニュエルの作品を、また見られて嬉しい。舞台はスペインなのにフランス映画。 なんか色々おふざけが多いな。彼の作品にはカトリックの問題点に触れるものも多いけど、この映画ではおちょくってますね。この前に作られた「ブルジョワジ…

フランソワ・トリュフォー監督「終電車」2381本目

ナチスが台頭していた時代のパリの劇場が舞台で、主演はカトリーヌ・ドヌーヴとジェラール・ドパルデュー。フランス映画もそこそこ見てきたと思うけど、この二人が共演してるのって珍しいですね。二人ともさまざまな作品に多数出てるのに、ジャンルが違うの…

テリー・ジョーンズ監督「ライフ・オブ・ブライアン」2379本目

追悼、テリー・ジョーンズ。 大好きなモンティ・パイソンの中で、テリー・ジョーンズといえば、キーキーうるさいおばちゃん役、あと「Nobody expects the Spanish Inquisition!」の三人組。ひょうひょうとしたキャラクターが多い中で、彼はいつも濃いという…

ルキノ・ヴィスコンティ監督「地獄に堕ちた勇者ども」2372本目

原題は「The Damned」。ロンドンパンクのダムドのバンド名はここから来たわけだな。DVDジャケットの写真はまるで、シド・ヴィシャスの彼女だったナンシー・スパンゲンみたいだし(あ、男か)…しかし大胆なタイトルですよね。貴族の話なのにDamnedなんて。彼…

エルマンノ・オルミ監督「聖なる酔っぱらいの伝説」2369本目

「~の伝説」ってタイトルには弱いな。寓話めいていて、現実をひょいっと超えてどこか遠くの異次元が現れてきそうで。ましてや「木靴の樹」の監督とあっては。 主演はブレードランナーのルドガー・ハウアーだよ。 あの戦闘型ロボットみたいだったルドガー・…

ジャン・ルノワール監督「ゲームの規則」2368本目

ジャン・ルノワールの作品って「大いなる幻影」しか見たことない、それも7年前。名画のルノワールの息子って知らなかった。「幻影」はなぜかエリッヒ・フォン・シュトロハイムが出てたことしか覚えてない…。 この映画は、登場人物が多くて人間関係が複雑なわ…

ペドロ・アルモドバル監督「バチ当たり修道院の最期」2363本目

原題「Entre Tinieblas」は「暗闇の間」という意味だそうです。シリアスっぽい~。ふざけた邦題のほうが映画をよく表してますよね。 DVDジャケットの写真がすごいけど、実際この僧院では虎を飼っているという設定(笑)。ヘロイン中毒の尼僧やロマンス小説を…

アルフレッド・ヒッチコック監督「救命艇」2359本目

究極のシチュエーション系のドラマですが、戦時中なので敵から砲撃された船の救命艇が舞台で、敵も一人乗り込んで来たりします。メンバーを失うことに関してはみんなとてもカラッと冷静。それもやはり戦時中だからかな。 どうしても思い出すのが、新藤兼人「…

ペドロ・アルモドバル監督「グロリアの憂鬱」2350本目

アルモドバル監督の作品のなかで、これが一番昔のものです。カルメン・マウラがまだ若くて、憂鬱な妻の役。昨日見直した「ボルベール」では謎の年配女性の役でした。今この映画を作るとしたら、妻の役は誰だろう? 一見普通の家庭だけど、10代の息子は麻薬を…

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督「ファスビンダーのケレル」2348本目

こんな言い方はよくないかもしれないけど、この映画は…ダメだな。この映画はいろんなところがおかしい。なぜかフランス語で、口パクの人が多くて、臨場感が薄い。建物の中はリアルだけど、屋外はぜんぶスタジオに設けたセットで、舞台みたいな閉所っぽい雰囲…

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 監督「マリア・ブラウンの結婚」2347本目

映画評論やさまざまなオススメ情報を読み散らかして早10年近く、名前は知ってるのにいまだに一本も見たことのない監督がいました。それがファスビンダー監督です。TSUTAYAに行っても、「映像乱れあり」の大昔のVHSしかないし、なかなかハードルが高かったの…

アルフレッド・ヒッチコック監督「ジュノーと孔雀」2334本目

ヒッチコックの作品も、見てないのが残り少なくなってきました。さすがに「傑作」にあう確率さがってます。 普通は夫婦のうちどっちが孔雀かというと、着飾った奥さんかな?と思うけど、この映画ではフラフラ飲み歩いてる「孔雀」が夫で、働いて稼いできてそ…

アルフレッド・ヒッチコック監督「リング」2333本目

KINENOTEでタイトル「リング」と検索すると2つヒットします。例のシリーズものと、これ。こちらのリングはボクシングのリングと腕輪のダブルミーニングです。 時は1927年。まだまだ無声映画の時代。冒頭の遊園地の描写は、コントラストの強い白黒映像で、ブ…

アルフレッド・ヒッチコック監督「ウインナー・ワルツ」2320本目

解説を見ると「楽聖映画」とあります。ウィーンでヨハン・シュトラウス二世が伯爵夫人というパトロンを得て「美しき青きドナウ」を作曲し、一晩にして大スターとしてブレイクする、という、殺人も謎もミステリーもない映画。ヒッチコックなのに!ヒロインを…

アルフレッド・ヒッチコック監督「巌窟の野獣」2319本目

原題は単に「Jamaica Inn」だけど、映画の中ではこの名前自体が怪しいものとされています。ぱっと見あっさりしてるけどねぇ。 トーキーになったばかりの時代で、画面が荒れているおかげで、荒くれ男たちが本当に荒く見えます。黒澤明の昔の映画みたいだな。 …

アルフレッド・ヒッチコック監督「下宿人」2318本目

1927年、ヒッチコックの無声映画。おそらく全尺が残っていて普通に見られる最古の作品と思われます。 これは冒頭から殺人事件が連続して起こっていて、サスペンスの香りたっぷりです。ハートの抜型でクッキー記事を抜いて意中の女性にアピールするなんて、可…

アルフレッド・ヒッチコック監督「ふしだらな女」2317本目

1928年の作品。初めてヒッチコックの無声映画を見ます。 しかしこの映画はミステリーではなかった、残念ながら。この映画では画家のモデルになった人妻が、画家に好かれて夫にその仲を怪しまれ、画家と夫が傷害事件を起こしてしまい、離婚訴訟を起こされる。…

リチャード・アッテンボロー監督「ガンジー」2311本目

リチャード・アッテンボロー監督って偉いなぁ。(子どものような感想ですみません)「遠い夜明け」もいい映画だった。ただ声高に「差別反対!」と叫ぶだけの人とは違う。差別する人の内面も浮かび上がってくるし、差別される側の誇り高さにも目を向けてる。…

ニコラス・ローグ監督「赤い影」2310本目

円谷プロ作品か?大映映画?グロテスクで派手な「不吉さ」の演出。それに、ベッドシーンでのポップな音楽のつけ方の不自然さ。カメラアングルは、やけに凝り凝りで(常に斜め、遠景、動きながら撮る、など)なんともいえない、おどろおどろしさ。チューブか…