ヨーロッパ映画(80年代まで)
<いろいろネタバレあります> 何やら陰鬱な表情の、若い田舎司祭が新しく村にやってくる。「ラルジャン」のロベール・ブレッソン、誰にでもある良い心と悪い心の葛藤や、悪運に巻き込まれて逃れられない運命を、あの映画でも描いてたように思います。 この…
この作品、最近やっとVODで提供されたのかな?ふしぎとあちこちでタイトルを見ます。ゴダールは苦手分野だけどSF映画も撮るんだ・・・と思って見てみたら、そこが別の星だという設定になっているだけで、映像も演出もふつうにフランス映画でした。アルファヴ…
イタリア製スプラッターホラー映画の金字塔「サスペリア」のダリオ・アルジェント監督の、それより以前の作品。音楽や映像がなんとなく「テレビ映画」と呼ばれるサスペンスドラマっぽい。「刑事コロンボ」みたいな。 でも刑事コロンボより、いちいちあおって…
大好きな映画なのでまた見ました。1938年のヒッチコック英国時代の作品。 サスペンス色は強いんだけど、胃を締め付けるような死の恐怖、という感じではなくて、家族で見に行けそう。全体的にすごく見事に計画され、まとめられた、とても完成度の高い作品だと…
モニカ・ヴィッティがもはや気だるい美女にしか見えないという刷り込みをさらに深める作品。でも「赤い砂漠」よりは笑顔が多い気もする。 アフリカの人のまねをするのは、彼らのエネルギーに惹かれるからか。彼女は一貫して意志や考えなしに、流されていきま…
中高生のころ、オスカー・ワイルド好きだったんですよ。ヘルムート・バーガーはイメージ通りです。(2022年の今は、彼の現在の姿を映画の中につい投影してしまうけど、そうするとさらにリアリティが増してしまって・・・) で、この監督は誰だ。映画は冒頭か…
この作品は、ゴダール本人がイメージ通りの気難しいおっさんとして入院しているのが、メタ的だけどリアルに感じられて、ちょっと見やすい映画かなと思ったんだけど、撃沈。クラシック音楽が大きく鳴り続けていて、きれいな女の子と男の絡み方が全然理解でき…
追悼ゴダールシリーズの続き。これは楽しい。なぜなら、ただでも可愛いアンナ・カリーナがあまりにも可愛い服を着てスパイごっこをしている感じが、もはやジャック・ドゥミやロジェ・ヴァディム監督作品、あるいはチェコ映画「ひなぎく」のようです。ゴダー…
追悼ゴダール監督。 見た作品もけっこうあるのに、見てない作品が山になってる。多作すぎる。 長い長いフィルムグラフィを見て初めて「中国女」や「東風」といったYMOの有名楽曲のタイトルが彼の作品から来てると気づく。(作詞してたクリス・モスデルの趣味…
<結末にふれています> 「怒りのキューバ」を見たら、これもモスフィルムの公式動画がYouTubeに載ってたので見てみました。カメラは「キューバ」と同じセルゲイ・ウルセフスキーだけど「キューバ」より7年前、1957年の作品。冒頭からなんだか重苦しいヨーロ…
Twitterでこの作品のハイライトシーンがなぜか何度も流れてくるのを見て、まるで実現不可能にしか見えないそのカメラワークに驚愕したのは私だけではないはず。YouTubeで公式動画が見つかったので見てみました。 キューバは憧れの国。ツアーで見て回れたのは…
<ネタバレあります> (この作品はラング監督の「映画監督に著作権はない」には出てきません。) 1943年の作品。 リリオムってメリーゴーランドに乗ってる細面のブロンド嬢の名前だと思ってたら、彼女に言い寄る係員の男の名前だったのね。その男を演じてる…
やっぱり可笑しい・・・ 音楽雑誌か何かで初めて知ったんだと思う、彼らのことは。巨大なリーゼントのアメリカかぶれのソ連のバンド?(本当はフィンランド)という無謀なキャラクター設定が、今見ても爆笑してしまう。そしてカウリスマキ監督との出会いでも…
仕事仲間と話してた時にボンドカーの話題になって、アストンマーティン製の初期タイプのことがよくわかる作品として、これが見てみたくなりました。過去に何回も見てるけど、意外と楽しめますね。 1964年の作品・・・この頃の男性映画(戦争やスパイや金や暴…
ジャン・ルノアール監督の「河」を見て、同じ原作者のこの映画も見てみたくなりました。マイケル・パウエルは「赤い靴」の監督か。そしてこの作品も、「河」と同様、インドのイギリス人が主人公。 山あいの”宮殿”はブータンのタクツァン寺院みたいだし、そこ…
1953年にラング監督がハリウッドで撮った作品。 ロマンチックな音楽のオープニング、主題歌はナット・キング・コール、映画の黄金時代って感じです。主演はアン・バクスター、登場する女性は三人ともブロンドでキュート。舞台劇みたいにちょっとしゃれた会話…
今週はいつものU-NEXTをオフにして、Amazonプライムのウォッチリストに溜まった作品を片っ端から見てみます。これはディートリッヒ様がなんとフリッツ・ラングが監督した西部劇だそうです。三つ巴。ディートリッヒ&ラングというドイツ勢がアリゾナの砂漠で…
これは、ジャン・ピエール・レオを見出したトリュフォー監督ではなくて、宿敵(ともみなされる)ゴダール監督の作品。ゴダールの男たちの例にもれず、レオ演じるポールは、なんだか政治的なメッセージのような哲学のようなものをつぶやいています。 常に、め…
ブリジット・バルドーとジャンヌ・モローがフレンチカンカンを踊る映画を、「死刑台のエレベーター」のルイ・マル監督が撮ってた?冗談でしょう?(ある意味もっとすごい。セミ・ストリップだもんね) …と思いながら見てみたら、そういうシェルブールの雨傘…
冒頭の音楽が、ライ・クーダーみたいなスライドギターになってる。(クレジットの隅々まで見たけど名前はナシ。まだ監督とミュージシャンは出会ってないのかも)それ以外も、ガラガラな一本道をトラックで走りながら、ずっとアメリカっぽい音楽が流れてる。…
3部作の2つ目。 これがデビュー作のナスターシャ・キンスキーは、当時14歳。まだ女性になりきれてない少女で、少年と言われたらそうかと思いそうなくらい。でも目力がすごい。これはクラウス・キンスキーから受け継いだ目だなぁ。初めてパパの方を見たとき…
「まわり道」を見かかって、やっぱり時系列順に見ようと思ってこっちを先にすることにしました。 一瞬、ジム・ジャームッシュの初期の作品みたい?と思ったけど主役のキャラが違う。どう違うかというと(※自分の過去の映画経験にもとづく偏見に満ちた洞察)…
「ラルジャン」の底のない悪の連鎖が印象に残るブレッソン監督。この作品はぱっと見、暗く難しげに見えたけど、徹底して淡々と脱獄に至る日々を描いていて、本当に日記のようでした。日々のリズムが単調なのもリアル。実話と思えないくらい管理がザルな監獄…
ドキュメンタリーなので比較的新しい作品ではあるけど、1975年なのでもう50年も前です。中年の夫婦が「1925年に生まれた」と話してたりすると「ん?」と思うけど、今ご存命なら97歳だ。取り上げられたお年寄りたちはもとより、中年の人たちもほとんど生きて…
タイトルは、この映画に出てくる夫婦の夫のほうの生まれ育った町の名前らしい。映画ビジュアルの、男女の顔が重なってる写真、完全に「写真美術館」に展示されてる往年のフォトグラファーの作品に見える。彼女のビジュアルセンスは卓越してるよなぁ。デザイ…
冒頭の60秒間の、まぁなんてスタイリッシュなこと。何度も見ちゃった。くわえタバコでやさぐれたジャンヌ・モローからすごい速さで遠ざかっていくカメラ、ミシェル・ルグランのドラマチックなピアノ。(最初クイーンの「セブン・シーズ・オブ・ライ」イント…
年を越えて「ひとりジャック・ドゥミ/アニエス・ヴァルダ特集」は続く。 この作品は「ジャック・ドゥミの少年期」で彼が作っていたロマンチックなアニメーションの実写化という感じ。内容はディズニーワールドです。ジャック・ドゥミって映画監督にならなか…
タイトル通りの、若くて美しい夫婦と可愛い子供たちの愛情あふれる時間から始まります。絵に描いたような幸福。…でも幸せってなんだっけ? <ネタバレあります> 夫にとっての幸せは、愛する家族のほかに、素敵な女性との新しい出会いと恋にときめいていると…
<結末にふれています> コロナ禍のひきこもりに疲れて、熊本一泊しています。なんとなく立ち寄った「熊本市立現代美術館」の上映会(無料)で、こんな珍しいものをやっていたので、県民のみなさまに混じって見てきました。 ゴダール苦手だし、DVD売り切れ、…
ヴェンダース監督の長編第一作らしい。流してみてると流れてしまうけど、よく見ると変な映画だ。 ゴールキーパーは審判にいちゃもんをつけすぎてレッドカード退場、スタジアムが交通不便な場所にあったので地元のホテルに泊まって、映画館に行ったり、その辺…