ヨーロッパ映画(80年代まで)
<結末にもふれています> 「嘆きの天使」とは全然違うんだ。時代を変えただけではなくて、教授のキャラクターも違うし堕ち方も違うし結末が冗談みたいに違う。一緒なのは、歌手の女に誘惑されて(いったん)身を持ち崩すところだけだ。出資者に「ハッピーエ…
パリの街角で、ゲンズブールがジェーン・バーキンとひたすら絡むような、都会的で密室内で繰り広げられるイヤらしい映画かと思った。全然違いました。みょうに牧歌的な音楽、これフランス?と思うような地方のゴミ捨て場やドライブイン。ホテルの室内にいて…
(見たのは2013/6/26、VHSレンタル。なぜかこのブログに書いてなかったので記録しておきます。) 1度見ても良さがわからなかったので、解説や他の人の感想を読んだ後もう一度見ました。そうやってみないとわからない映画が、私の場合三分の一くらいあり…
カティ・オウティネンさん(オフィーリア)が、名画”オフィリア(の川流れ)”のポーズで浴槽に沈む・・・。 この作品のハムレットはなかなか悪いやつなんだけど、その友達はもっと悪くて、いい奴なんてあんまりいない映画でした。今世紀になってから流行して…
カラマリってフィンランド語でもイカのことなんだ。このフランクの群れはフィンランドのイカ漁組合、ってことかな。彼らは現状の生活に行き詰まりを感じていて、町の反対側にある「エイラ」という場所を目指すけど、なぜか次々に殺されていく。 1回流して見…
パゾリーニ監督作品は、キリスト教の悪い部分を描くことになってるんだろうか? 世界の終わりを告げる使徒のようなテレンス・スタンプ(不吉なジュード・ロウという感じ)がある邸を訪れると、邸の人間はみんな、彼に自分を与えずにいられなくなる。彼が急に…
この監督の「ヨーヨー」を先に見たんだけど、パリのしゃれっ気あふれる素敵な作品でした。可愛くて可笑しくて優しくて。この作品も、成長した少年がまだうまく大人の男になりきれず、失敗ばかりするのが愉快です。 とにかく、世界中の女子が憧れる華麗なパリ…
すごく美的にこだわった作品ですね。たのしく、うつくしく、ちょっと切なく、完成度が高い。ジャック・タチを思い出すなと思ったら、実際エテックス監督はジャック・タチのスタッフだったんだ。この作品の権利関係をクリアして再発するための運動には、ゴダ…
1951年の作品だけど、リマスターされていてすっごく映像がきれいです。 「天井桟敷の人々」の監督だよね。「巴里の空の下」とか「嘆きのテレーズ」も見たな。人々が優雅で、ダンスを踊るように動く。夢の中みたいにどこかロマンチックで、でも胸がつぶれるく…
1986年の作品。 当時ミュージックビデオで人気だった監督が撮ったこのコマーシャルでエンタメな音楽映画を今なぜ見るかというと、デヴィッド・ボウイが出てるから、というだけじゃなくて、楽曲がすごく懐かしいから。当時映画は見てないけど、サントラを聴き…
1986年、アキ・カウリスマキ監督の初期の作品。 まだ若いお姉ちゃんという感じのカティ・オウティネンは、今年になってから何度も仕事をクビになっている。ごみ収集業のマッティ・ペロンパーが彼女と出会ってナンパします。この方、「モーゼに会う」1994年の…
これもDVDレンタル。 メキシコのブニュエル監督が撮ったフランス語作品か。主役がジェラール・フィリップだからだな。そういえば冒頭からのナレーションの声がジェラール・フィリップだ。 舞台の島はカリブ海のどこかのようだけど、OjedaやEl Paoという地名…
イタリアのネオリアリズモということは、「自転車泥棒」と同じジャンル? あれは孤独な父子の貧しい生活だけがぽつんと描かれた映画だったけど、これは熱く抵抗し、熱く戦った男たちと女たちと子どもたちの映画だった。救いのなさは似てる。 レジスタンスの…
<いろいろネタバレあります> 何やら陰鬱な表情の、若い田舎司祭が新しく村にやってくる。「ラルジャン」のロベール・ブレッソン、誰にでもある良い心と悪い心の葛藤や、悪運に巻き込まれて逃れられない運命を、あの映画でも描いてたように思います。 この…
この作品、最近やっとVODで提供されたのかな?ふしぎとあちこちでタイトルを見ます。ゴダールは苦手分野だけどSF映画も撮るんだ・・・と思って見てみたら、そこが別の星だという設定になっているだけで、映像も演出もふつうにフランス映画でした。アルファヴ…
イタリア製スプラッターホラー映画の金字塔「サスペリア」のダリオ・アルジェント監督の、それより以前の作品。音楽や映像がなんとなく「テレビ映画」と呼ばれるサスペンスドラマっぽい。「刑事コロンボ」みたいな。 でも刑事コロンボより、いちいちあおって…
大好きな映画なのでまた見ました。1938年のヒッチコック英国時代の作品。 サスペンス色は強いんだけど、胃を締め付けるような死の恐怖、という感じではなくて、家族で見に行けそう。全体的にすごく見事に計画され、まとめられた、とても完成度の高い作品だと…
モニカ・ヴィッティがもはや気だるい美女にしか見えないという刷り込みをさらに深める作品。でも「赤い砂漠」よりは笑顔が多い気もする。 アフリカの人のまねをするのは、彼らのエネルギーに惹かれるからか。彼女は一貫して意志や考えなしに、流されていきま…
中高生のころ、オスカー・ワイルド好きだったんですよ。ヘルムート・バーガーはイメージ通りです。(2022年の今は、彼の現在の姿を映画の中につい投影してしまうけど、そうするとさらにリアリティが増してしまって・・・) で、この監督は誰だ。映画は冒頭か…
この作品は、ゴダール本人がイメージ通りの気難しいおっさんとして入院しているのが、メタ的だけどリアルに感じられて、ちょっと見やすい映画かなと思ったんだけど、撃沈。クラシック音楽が大きく鳴り続けていて、きれいな女の子と男の絡み方が全然理解でき…
追悼ゴダールシリーズの続き。これは楽しい。なぜなら、ただでも可愛いアンナ・カリーナがあまりにも可愛い服を着てスパイごっこをしている感じが、もはやジャック・ドゥミやロジェ・ヴァディム監督作品、あるいはチェコ映画「ひなぎく」のようです。ゴダー…
追悼ゴダール監督。 見た作品もけっこうあるのに、見てない作品が山になってる。多作すぎる。 長い長いフィルムグラフィを見て初めて「中国女」や「東風」といったYMOの有名楽曲のタイトルが彼の作品から来てると気づく。(作詞してたクリス・モスデルの趣味…
<結末にふれています> 「怒りのキューバ」を見たら、これもモスフィルムの公式動画がYouTubeに載ってたので見てみました。カメラは「キューバ」と同じセルゲイ・ウルセフスキーだけど「キューバ」より7年前、1957年の作品。冒頭からなんだか重苦しいヨーロ…
Twitterでこの作品のハイライトシーンがなぜか何度も流れてくるのを見て、まるで実現不可能にしか見えないそのカメラワークに驚愕したのは私だけではないはず。YouTubeで公式動画が見つかったので見てみました。 キューバは憧れの国。ツアーで見て回れたのは…
<ネタバレあります> (この作品はラング監督の「映画監督に著作権はない」には出てきません。) 1943年の作品。 リリオムってメリーゴーランドに乗ってる細面のブロンド嬢の名前だと思ってたら、彼女に言い寄る係員の男の名前だったのね。その男を演じてる…
やっぱり可笑しい・・・ 音楽雑誌か何かで初めて知ったんだと思う、彼らのことは。巨大なリーゼントのアメリカかぶれのソ連のバンド?(本当はフィンランド)という無謀なキャラクター設定が、今見ても爆笑してしまう。そしてカウリスマキ監督との出会いでも…
仕事仲間と話してた時にボンドカーの話題になって、アストンマーティン製の初期タイプのことがよくわかる作品として、これが見てみたくなりました。過去に何回も見てるけど、意外と楽しめますね。 1964年の作品・・・この頃の男性映画(戦争やスパイや金や暴…
ジャン・ルノアール監督の「河」を見て、同じ原作者のこの映画も見てみたくなりました。マイケル・パウエルは「赤い靴」の監督か。そしてこの作品も、「河」と同様、インドのイギリス人が主人公。 山あいの”宮殿”はブータンのタクツァン寺院みたいだし、そこ…
1953年にラング監督がハリウッドで撮った作品。 ロマンチックな音楽のオープニング、主題歌はナット・キング・コール、映画の黄金時代って感じです。主演はアン・バクスター、登場する女性は三人ともブロンドでキュート。舞台劇みたいにちょっとしゃれた会話…
今週はいつものU-NEXTをオフにして、Amazonプライムのウォッチリストに溜まった作品を片っ端から見てみます。これはディートリッヒ様がなんとフリッツ・ラングが監督した西部劇だそうです。三つ巴。ディートリッヒ&ラングというドイツ勢がアリゾナの砂漠で…