映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨーロッパ映画(80年代まで)

ペドロ・アルモドバル監督「セクシリア」2558本目

(ネタバレあり) アルモドバル監督の常連、セシリア・ロス。「オール・アバウト・マイ・マザー」であんなにド迫力を見せた彼女もこのときはまだ20代。イケイケのセクシー美女です。ネーミングが愉快ですね、セクシーなセシリアだからセクシリアって名付けた…

デイヴィッド・リーン 監督「オリヴァ・ツイスト」2554本目

デイヴィッド・リーンですよ。新大陸へ大旅行をする大映画をたくさん残した、「インドへの道」「アラビアのロレンス」の。 オリヴァ君は端正なんだけどいじめられ続けて悲壮感が漂っています。彼が流れ着いた泥棒の親方はアレック・ギネス。まだダークサイド…

ペーター・ハントケ 監督「左利きの女」2546本目

ヴィム・ヴェンダースが製作に入っていて、彼の映画の脚本で見かけるピーター・ハントケが監督。そして、かなり若いブルーノ・ガンツの出演作品です。1977年。統一が1989年だからまだ完全に「西ドイツ」の時期の作品です。 だけどなんとなく北欧かロシアの映…

アルフレッド・ヒッチコック監督「農夫の妻」2538本目

「農夫の妻」ってタイトルから、いつもボヤいてるおっちゃんの方が主役かと思った。農夫って普通は使用人のほうを指す言葉だけど、Farmerの正しい日本語訳は「農場主」、経営者のほうなのだ。 この映画が公開された1928年を調べてみると、ちょうど英国で21歳…

ジョルジュ・シュルイツァー 監督「ザ・バニシング~消失~」2527本目

<ネタバレあり> 最後の10分間が‥‥。しれっと何の盛り上がりもなく事実の羅列のまま終わるこの演出が、監督自身の感情の欠落、レイモンの視点を感じさせてゾッとしますね。(もちろんそれが演出意図なんだけど)レイモンは、たとえて言うと「永遠に僕のもの…

ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ監督「世にも怪奇な物語」2523本目

怖い映画ばかり見たので、楽しそうなやつ、いきます。 すごいですねこれはまた、豪華監督3本立て。 (1)ロジェ・ヴァディム監督。ジェーン・フォンダが弟ピーター・フォンダと共演。のちにスカしたイージー・ライダーになった彼もこのときは王子様装束です…

ヘルマン・クラル 監督「ミュージック・クバーナ」2519本目

最初の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」と「アディオス」の間に撮られた映画。この間にコンパイ・セグンドをはじめとするメンバーの数名が亡くなっています。この映画はピオ・レイヴァと彼のThe Sons Of Cubaバンドを中心に、ドラマ仕立てになっていま…

ジャン・リュック・ゴダール「イメージの本」2506本目

巨匠がわかる人だけがわかればいいと思って、自分の大事な映画の断片をたくさん集めて作った宝物。「コヤニスカッツィ」とかテレンス・マリックの映画とか「イントレランス」の仲間。って感じでした。巨匠つっても若いころは自意識過剰の気取り屋だった人が…

アルフレッド・ヒッチコック監督「マンクスマン」2475本目

1929年の作品。同年の「恐喝」が(イギリス発といわれている)トーキーで、これはサイレント最後の作品。ヒロインは2本とも、可憐なアニー・オンドラ。「恐喝」のほうは後ろ暗いところのある女性の役で、こちらも二人の幼馴染の男性のあいだで心が揺れる女…

キャロル・リード監督「落ちた偶像」2470本目

1948年のイギリス映画。これは画質が悪い…。1枚当たり160円のDVDなのでリマスターなどしているわけもないんですが。この頃の作品で映像がクリアなものもあるので、ちょっと残念。内容はなかなかブラックで見ごたえがあるだけに。 執事が不倫相手と密会する…

フェデリコ・フェリーニ監督「フェリーニのアマルコルド」2468本目

この作品ってほかと違いますね、ジャケットがビートルズのサージェントペパーズみたいで。一方、映像の雰囲気は、いつもみたいな貴族の館じゃないしマルチェロ・マストロヤンニも出てこない。ニュー・シネマ・パラダイスみたいな、市井の人たちの町だ。いや…

イングマール・ベルイマン監督「魔術師」2464本目

馬車が木立の向こうから走ってくると、その背後から夢のように美しい陽射しがさしこんでくる。印象的な場面だけど私でも知っているスヴェン・ニクヴィストの撮影ではないようでした。 マックス・フォン・シドーが若い上に「髪を黒く染めて付け髭をつけている…

ルネ・ラルー監督「ファンタスティック・プラネット」2462本目

目の赤い、なんか怖いキャラクターのこの映画、ずっと気になってましたが、コロナがらみのAmazon経由シネフィルWOWOW無料ということで見てみました。1973年の作品なんですね!なんとなくモンティ・パイソンのつなぎアニメみたいな品質とテイストなのが納得で…

ジャック・ベッケル監督「モンパルナスの灯」2460本目

これを借りた理由は多分、宝塚の「赤と黒」を見たからだ。以前見たジェラール・フィリップ主演の「赤と黒」は宝塚にはあるまじき悪党の物語なのに、それを忠実になぞりつつ清く美しい宝塚流にちゃんと完成していた先日の公演はなかなか素晴らしくて、改めて…

ジャン・リュック・ゴダール監督「女は女である」2438本目

なんか、納得しました。 ゴダールって女のことをちっとも理解してないけど、その美しさや優雅さに心酔してとりこになっていた、ある意味フェミニストなんじゃないかな。アンナ・カリーナにしれっと「みんな私の言うことを聞くわ、だってわたしは、とても、き…

ルキノ・ヴィスコンティ監督「若者のすべて」2437本目

ダメだ、この映画苦手…。 イタリア人のおばちゃんと息子たちとその女たちが、ずーーっと怒鳴り続けてるのを聞いてるのがツラくて。どん底まで不幸な映画はほかにもあるけど、私はこういうのダメなんだ。 ルキノ・ヴィスコンティは、アラン・ドロンをはじめと…

デイヴィッド・リーン監督「ライアンの娘」2434本目

ライアンってアイルランドの典型的な名前なのかな。「Ryan Air」って格安航空が有名なのは、この映画にちなんだものなんだろうか。 この映画は巨匠(作る映画すべて大作という意味でも)デイヴィッド・リーンが力を込めて作ったもので、アイルランドの荒っぽ…

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督「ベロニカ・フォスのあこがれ」2417本目

今なかなか見られないレアものです。某図書館で借りました。 「マリア・ブラウンの結婚」も面白かったけど、こっちは最初からなんだか異形な映画です。全盛期を過ぎた女優が中心ということで、当然思い出すのが「サンセット大通り」ですが、あちらはきちんと…

イングマール・ベルイマン監督「叫びとささやき」2410本目

ちょっとホラーでしたね! 「叫び」は死に至る病を得た長女が絞り出すもの、「ささやき」は病人をおもんばかって妹たちと召使いが、声すら出さず息だけで話す音。ベルイマンの映画は最初に「沈黙」を見て、カメラがあまりに女優たちに寄ってるのに度肝を抜か…

ジャン・ヴィゴ監督「アタラント号」2409本目

何度も見逃したけど、結局近所の図書館のAVコーナーでレーザーディスク(!)でやっと視聴(注:今は令和2年)。さすがLD、映像きれいでしたよ(棒読み)冒頭にメイキングも入ってたし。 で内容ですが、ぼんやりと評判を見聞きしてたときは、猫の出てくる若…

シドニー・ルメット監督「その土曜日、7時58分」2404本目

(ほぼネタバレあり) 在りし日のフィリップ・シーモア・ホフマン、今よりちょっと若いイーサン・ホーク。兄のアンディ(ホフマン)が弟のハンク(ホーク)に宝石店強盗を持ちかける。もちろん普通の素人。なんか痛い、いやな予感がします。サングラスと付け…

ジャック・イヴ・クーストー &ルイ・マル監督「沈黙の世界」2399本目

深海探索のドキュメンタリー映画です。なんでルイ・マル?ジャケット写真ほど映像がキレイではない、深海の実態を淡々と撮影して報道するかんじの映画でした。1956年だから、全編天然色の深海映像を撮っただけでもすごいと思うけど、2020年の私はほとんど潜…

ルイス・ブニュエル監督「自由の幻想」2390本目

やけに好きなルイス・ブニュエルの作品を、また見られて嬉しい。舞台はスペインなのにフランス映画。 なんか色々おふざけが多いな。彼の作品にはカトリックの問題点に触れるものも多いけど、この映画ではおちょくってますね。この前に作られた「ブルジョワジ…

フランソワ・トリュフォー監督「終電車」2381本目

ナチスが台頭していた時代のパリの劇場が舞台で、主演はカトリーヌ・ドヌーヴとジェラール・ドパルデュー。フランス映画もそこそこ見てきたと思うけど、この二人が共演してるのって珍しいですね。二人ともさまざまな作品に多数出てるのに、ジャンルが違うの…

テリー・ジョーンズ監督「ライフ・オブ・ブライアン」2379本目

追悼、テリー・ジョーンズ。 大好きなモンティ・パイソンの中で、テリー・ジョーンズといえば、キーキーうるさいおばちゃん役、あと「Nobody expects the Spanish Inquisition!」の三人組。ひょうひょうとしたキャラクターが多い中で、彼はいつも濃いという…

ルキノ・ヴィスコンティ監督「地獄に堕ちた勇者ども」2372本目

原題は「The Damned」。ロンドンパンクのダムドのバンド名はここから来たわけだな。DVDジャケットの写真はまるで、シド・ヴィシャスの彼女だったナンシー・スパンゲンみたいだし(あ、男か)…しかし大胆なタイトルですよね。貴族の話なのにDamnedなんて。彼…

エルマンノ・オルミ監督「聖なる酔っぱらいの伝説」2369本目

「~の伝説」ってタイトルには弱いな。寓話めいていて、現実をひょいっと超えてどこか遠くの異次元が現れてきそうで。ましてや「木靴の樹」の監督とあっては。 主演はブレードランナーのルドガー・ハウアーだよ。 あの戦闘型ロボットみたいだったルドガー・…

ジャン・ルノワール監督「ゲームの規則」2368本目

ジャン・ルノワールの作品って「大いなる幻影」しか見たことない、それも7年前。名画のルノワールの息子って知らなかった。「幻影」はなぜかエリッヒ・フォン・シュトロハイムが出てたことしか覚えてない…。 この映画は、登場人物が多くて人間関係が複雑なわ…

ペドロ・アルモドバル監督「バチ当たり修道院の最期」2363本目

原題「Entre Tinieblas」は「暗闇の間」という意味だそうです。シリアスっぽい~。ふざけた邦題のほうが映画をよく表してますよね。 DVDジャケットの写真がすごいけど、実際この僧院では虎を飼っているという設定(笑)。ヘロイン中毒の尼僧やロマンス小説を…

アルフレッド・ヒッチコック監督「救命艇」2359本目

究極のシチュエーション系のドラマですが、戦時中なので敵から砲撃された船の救命艇が舞台で、敵も一人乗り込んで来たりします。メンバーを失うことに関してはみんなとてもカラッと冷静。それもやはり戦時中だからかな。 どうしても思い出すのが、新藤兼人「…