映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨーロッパ映画(80年代まで)

ジャン・リュック・ゴダール監督「小さな兵隊」3503本目

追悼ゴダール監督。 見た作品もけっこうあるのに、見てない作品が山になってる。多作すぎる。 長い長いフィルムグラフィを見て初めて「中国女」や「東風」といったYMOの有名楽曲のタイトルが彼の作品から来てると気づく。(作詞してたクリス・モスデルの趣味…

ミハイル・カラトーゾフ監督「鶴は翔んでいく(戦争と貞操)」3500本目

<結末にふれています> 「怒りのキューバ」を見たら、これもモスフィルムの公式動画がYouTubeに載ってたので見てみました。カメラは「キューバ」と同じセルゲイ・ウルセフスキーだけど「キューバ」より7年前、1957年の作品。冒頭からなんだか重苦しいヨーロ…

ミハイル・カラトーゾフ 監督「怒りのキューバ」3499本目

Twitterでこの作品のハイライトシーンがなぜか何度も流れてくるのを見て、まるで実現不可能にしか見えないそのカメラワークに驚愕したのは私だけではないはず。YouTubeで公式動画が見つかったので見てみました。 キューバは憧れの国。ツアーで見て回れたのは…

フリッツ・ラング監督「リリオム」3487本目

<ネタバレあります> (この作品はラング監督の「映画監督に著作権はない」には出てきません。) 1943年の作品。 リリオムってメリーゴーランドに乗ってる細面のブロンド嬢の名前だと思ってたら、彼女に言い寄る係員の男の名前だったのね。その男を演じてる…

アキ・カウリスマキ監督「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」3485本目

やっぱり可笑しい・・・ 音楽雑誌か何かで初めて知ったんだと思う、彼らのことは。巨大なリーゼントのアメリカかぶれのソ連のバンド?(本当はフィンランド)という無謀なキャラクター設定が、今見ても爆笑してしまう。そしてカウリスマキ監督との出会いでも…

ガイ・ハミルトン監督「007 ゴールドフィンガー」3476本目

仕事仲間と話してた時にボンドカーの話題になって、アストンマーティン製の初期タイプのことがよくわかる作品として、これが見てみたくなりました。過去に何回も見てるけど、意外と楽しめますね。 1964年の作品・・・この頃の男性映画(戦争やスパイや金や暴…

マイケル・パウエル監督「黒水仙」3470本目

ジャン・ルノアール監督の「河」を見て、同じ原作者のこの映画も見てみたくなりました。マイケル・パウエルは「赤い靴」の監督か。そしてこの作品も、「河」と同様、インドのイギリス人が主人公。 山あいの”宮殿”はブータンのタクツァン寺院みたいだし、そこ…

フリッツ・ラング監督「ブルー・ガーディニア」3464本目

1953年にラング監督がハリウッドで撮った作品。 ロマンチックな音楽のオープニング、主題歌はナット・キング・コール、映画の黄金時代って感じです。主演はアン・バクスター、登場する女性は三人ともブロンドでキュート。舞台劇みたいにちょっとしゃれた会話…

フリッツ・ラング監督「無頼の谷」3463本目

今週はいつものU-NEXTをオフにして、Amazonプライムのウォッチリストに溜まった作品を片っ端から見てみます。これはディートリッヒ様がなんとフリッツ・ラングが監督した西部劇だそうです。三つ巴。ディートリッヒ&ラングというドイツ勢がアリゾナの砂漠で…

ジャン・リュック・ゴダール監督「男性・女性」3383本目

これは、ジャン・ピエール・レオを見出したトリュフォー監督ではなくて、宿敵(ともみなされる)ゴダール監督の作品。ゴダールの男たちの例にもれず、レオ演じるポールは、なんだか政治的なメッセージのような哲学のようなものをつぶやいています。 常に、め…

ルイ・マル監督「ビバ!マリア」3370本目

ブリジット・バルドーとジャンヌ・モローがフレンチカンカンを踊る映画を、「死刑台のエレベーター」のルイ・マル監督が撮ってた?冗談でしょう?(ある意味もっとすごい。セミ・ストリップだもんね) …と思いながら見てみたら、そういうシェルブールの雨傘…

ヴィム・ヴェンダース監督「さすらい」3365本目

冒頭の音楽が、ライ・クーダーみたいなスライドギターになってる。(クレジットの隅々まで見たけど名前はナシ。まだ監督とミュージシャンは出会ってないのかも)それ以外も、ガラガラな一本道をトラックで走りながら、ずっとアメリカっぽい音楽が流れてる。…

ヴィム・ヴェンダース監督「まわり道」3363本目

3部作の2つ目。 これがデビュー作のナスターシャ・キンスキーは、当時14歳。まだ女性になりきれてない少女で、少年と言われたらそうかと思いそうなくらい。でも目力がすごい。これはクラウス・キンスキーから受け継いだ目だなぁ。初めてパパの方を見たとき…

ヴィム・ヴェンダース監督「都会のアリス」3362本目

「まわり道」を見かかって、やっぱり時系列順に見ようと思ってこっちを先にすることにしました。 一瞬、ジム・ジャームッシュの初期の作品みたい?と思ったけど主役のキャラが違う。どう違うかというと(※自分の過去の映画経験にもとづく偏見に満ちた洞察)…

ロベール・ブレッソン監督「抵抗(レジスタンス)死刑囚の手記より」3304本目

「ラルジャン」の底のない悪の連鎖が印象に残るブレッソン監督。この作品はぱっと見、暗く難しげに見えたけど、徹底して淡々と脱獄に至る日々を描いていて、本当に日記のようでした。日々のリズムが単調なのもリアル。実話と思えないくらい管理がザルな監獄…

アニエス・ヴァルダ監督「ダゲール街の人々」3302本目

ドキュメンタリーなので比較的新しい作品ではあるけど、1975年なのでもう50年も前です。中年の夫婦が「1925年に生まれた」と話してたりすると「ん?」と思うけど、今ご存命なら97歳だ。取り上げられたお年寄りたちはもとより、中年の人たちもほとんど生きて…

アニエス・ヴァルダ監督「ラ・ポワント・クールト」3301本目

タイトルは、この映画に出てくる夫婦の夫のほうの生まれ育った町の名前らしい。映画ビジュアルの、男女の顔が重なってる写真、完全に「写真美術館」に展示されてる往年のフォトグラファーの作品に見える。彼女のビジュアルセンスは卓越してるよなぁ。デザイ…

ジャック・ドゥミ監督「天使の入江」3298本目

冒頭の60秒間の、まぁなんてスタイリッシュなこと。何度も見ちゃった。くわえタバコでやさぐれたジャンヌ・モローからすごい速さで遠ざかっていくカメラ、ミシェル・ルグランのドラマチックなピアノ。(最初クイーンの「セブン・シーズ・オブ・ライ」イント…

ジャック・ドゥミ監督「ロバと王女」3280本目

年を越えて「ひとりジャック・ドゥミ/アニエス・ヴァルダ特集」は続く。 この作品は「ジャック・ドゥミの少年期」で彼が作っていたロマンチックなアニメーションの実写化という感じ。内容はディズニーワールドです。ジャック・ドゥミって映画監督にならなか…

アニエス・ヴァルダ監督「幸福」3275本目

タイトル通りの、若くて美しい夫婦と可愛い子供たちの愛情あふれる時間から始まります。絵に描いたような幸福。…でも幸せってなんだっけ? <ネタバレあります> 夫にとっての幸せは、愛する家族のほかに、素敵な女性との新しい出会いと恋にときめいていると…

アンヌ・マリー・ミエヴィル/ジャン・リュック・ゴダール 監督「ゴダールのマリア」3268本目

<結末にふれています> コロナ禍のひきこもりに疲れて、熊本一泊しています。なんとなく立ち寄った「熊本市立現代美術館」の上映会(無料)で、こんな珍しいものをやっていたので、県民のみなさまに混じって見てきました。 ゴダール苦手だし、DVD売り切れ、…

ヴィム・ヴェンダース監督「ゴールキーパーの不安」3247本目

ヴェンダース監督の長編第一作らしい。流してみてると流れてしまうけど、よく見ると変な映画だ。 ゴールキーパーは審判にいちゃもんをつけすぎてレッドカード退場、スタジアムが交通不便な場所にあったので地元のホテルに泊まって、映画館に行ったり、その辺…

アンリ・ジョルジュ・クルーゾー 監督「悪魔のような女」3207本目

<ネタバレあります> あの「恐怖の報酬」のクルーゾー監督。追い詰めるようなスリルを演出させたら、右に出るものはありません。 この作品ではシモーヌ・シニョレvsヴェラ・クルーゾー(まだ監督と結婚する前だけど)という構図があって、ヴェラの悪い夫は…

マルコ・ヴィカリオ 監督「続・黄金の七人 レインボー作戦」3205本目

性懲りもなく、またシックな窃盗団が強盗に励んでいます。今回は「峰不二子」役のロッサナ・ポデスタ嬢が中心。欠点のない顔立ち、豊満な体つき、なにかモニカ・ベルッチを思い出します。ここまで来ると「バーバレラ」byロジェ・ヴァディムっぽっくなってき…

マルコ・ヴィカリオ 監督「黄金の七人」3204本目

軽妙でシックな窃盗グループの大冒険、じゃなくて窃盗事件。よく見るとなかなかの大所帯ですね。中に一人、一度見たら忘れられないような美女が混じっています。ほかは手練れの泥棒たち。映画の紹介文には「日本のルパン三世が影響を受けた」と書いてありま…

ジガ・ヴェルトフ集団 監督「イタリアにおける闘争」3171本目

名義が違うけどゴダールが監督なんですって。パロディか何かのように、シリアスな顔をした学生風の女性が、新聞や雑誌の共産主義に関する文章を次々に読み上げる。「くたばれ観念論!」なんてセリフもあるけど、この映画が観念論そのもののような…。 で、映…

フランコ・ゼフィレッリ 監督「ブラザー・サン、シスター・ムーン」3155本目

なんとなくタイトルを覚えていた映画だけど、たまたま借りて読んだ山田詠美の小説の中でこの作品の中のセリフを引用してたのを見て、Amazonプライムで見つけて見てみました。イタリア映画だけど言語は英語。 最初、なんか美しいけどよく意味がわからない…と…

ジロ・ポンテコルヴォ 監督「アルジェの戦い」3149本目

昔のイタリア映画ばかり見てるけど深い理由はなく、U-NEXTの「9月末で終了する作品」だから。しかしこの映画の舞台は仏領アルジェリアの独立への戦いを描いたもので、言語はフランス語だけどフランス資本で作られることはない映画。この映画にイタリアが出資…

ピエル・パオロ・パゾリーニ 監督「奇跡の丘」3148本目

これもパゾリーニ監督。こっちを先に見たほうがよかったかな。1964年の作品で、まだモノクロ。 「アポロンの地獄」よりずっと入りやすい映画です、なぜなら主役がジーザスだから。ざっくりとしたストーリーはわかっているし、ベースが聖典だから、立体になっ…

ピエル・パオロ・パゾリーニ 監督「アポロンの地獄」3147本目

この監督の作品は初めてかな。 ギリシャ神話のお話なのに、現代的なアパートの一室で始まり…母を演じてるのはアリダ・ヴァリでした。イタリア映画って重厚なものが多い気がする。イタリアに行くと街中の彫刻とか建物とかがびっくりするほど大きいのも、イタ…