映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

新藤兼人監督「母」88

1963年作品。 そういえばこれまだ見てなかった、と思って。前置きを読むと、息子の病気の治療のためにうんと年上の男と再婚する母の計算高さ…のような映画だと思ったけど、映画のなかの母=乙羽信子は欲目を感じさせない愛情豊かな母です。タイちゃん…殿山泰…

新藤兼人監督「三文役者」87

2000年作品。原作を読んだら見たくなりました。 新藤監督作品にいつも出てくる殿山泰司の、監督の筆による伝記を映画化したものです。彼の出演した映画の一部や、彼と映画を作った人たちによる語りがところどころ実録として出てきますが、おおむね全編は別の…

五社英雄監督「極道の妻たち」86

1986年作品。このブログではもはや「むかしの日本映画」と分類している作品です。感想。B級中のB級だった…精気を抜かれるほど。ブログで感想を書いた作品では「女囚さそり」に匹敵するB級度だなぁと思いました。匹敵もするし似てもいます。女性どうしの取っ…

増村保造監督「暖流」85

1957年作品。だいぶ前にTVでやったのを録画してて、やっと最後まで見ました。 「けれん味」っていうんでしょうかね。みょうに時代感のあふれる、今ならキムタクの演技のような、気取っていてオシャレな感じの“わざとらしさの美”。ヒロイン野添ひとみの美しさ…

篠田正浩監督「鑓の権三」84

1986年作品。近松門左衛門の浄瑠璃『鑓の権三重帷子』の映画化です。テーマは「不義密通の濡れ衣を着せられた美青年と人妻の道行」。歌舞伎というものを見に行ったことがほんの数回あるのですが、行くたびに人の、特に女性の命の軽さやお家というものの重さ…