映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

日本映画(90年代以降)

武内英樹 監督「翔んで埼玉」2463本目

めくるめく魔夜峰央の世界。ビジュアル系とか宝塚とか、もっというと歌舞伎や戦隊ものアニメにも通じる”不自然さの”が体質的に嫌いな人は、はなから見ないほうが良い。この世界に異常に親和性の高いGACKTと、何にでもなりきれる天才二階堂ふみがいれば、すで…

諏訪敦彦監督「風の電話」 2448本目

これもまた「別府ブルーバード劇場」にて。観客はきわめてまばらだけど、今日は館主の方もいらして、湯の街で映画文化を長年守り続けてきた方の笑顔がとてもまぶしかったです。 この映画は、感想を書くのが難しいですね。作り手と現実の被害者やその家族の方…

真利子哲也 監督「宮本から君へ」2445本目

俳優がみなすごく役に入り込んでいて、深い演技で見ごたえがありました。好き嫌いはあるだろうけど、力の入ったいい映画だと思います。これはやっぱり監督の力なんだろうな。 真利子哲也 監督って「デストラクションベイビーズ」だし、バイオレントなイメー…

千切谷知子演出「扉の向こう ロック歌手・宮本浩次という生き方」 2444本目

是枝監督がプロデュースしてますね。なんのつながり?ファン?最後のクレジットにテレビマンユニオン(制作会社)、フジテレビって出てましたね。もともとテレビ用に作った作品だそうです。 私がエレカシをちゃんと聞き始めたのは、ソニーからポニキャンへ移…

三浦大輔監督「娼年」2439本目

「恋の渦」「愛の渦」の監督か。それで納得した。あの2つの映画も、エロスを追求するんじゃなくて性ってほんと人間そのものだよね、と、動物の交尾を観察するように、あけすけに描写した映画だった。この映画の場合、最後のオチはどうでもよくて(というこ…

石井裕也監督「町田くんの世界」2427本目

まったく期待しないで見たら、思いのほか面白かった。 町田くんっていう稀有なキャラが、マウンティングしあう時代には清浄剤であり潤滑油であり、キャスティングの妙と監督の熱意とでいい作品に仕上がっていました。 町田くん!細田佳央太って子は初めて見…

東陽一監督「絵の中のぼくの村」2426本目

ふたごの物語だけど、タイトルは「ぼくらの村」じゃないんだな。原作があって、それは双子の共著ではなく一人の著書だからか。 田舎の子どもたちの映画って他にもいくつもあって、「菊次郎の夏」とかもそうだし、そういえばゲームソフトの「ぼくのなつやすみ…

今泉力哉 監督「愛がなんだ」2422本目

原作がいいんだろうな、この映画の面白さは。役者もそろっています。岸井ゆきの、いいなぁ。成田凌も、なりきる力が高いけど、ほんとのところどういう人なんだろうなーと思わせる。 この映画も、学校内ヒエラルキー関連映画みたいで、惚れられたものが強者で…

荒井晴彦 監督「火口のふたり」2398本目

この映画のことはほとんど知らなかったので、キネマ旬報ベストテン1位と聞いて「なんだっけ?」と思ってしまったのですが、見たらじつにしみじみーといい映画でした。地味だし「エロス」に分類されるのは事実なので、下手すると埋もれてしまいそうなこの映…

深田晃司監督「よこがお」2378本目

これも、不思議と良かった。ストーリーは「イヤミス」ですよね、家族からの憎悪や嫉妬、マスコミや一般の人たちのネガティブな感情を浴びた主人公が、自分も爆発して最後鎮火する…。といってしまうと身も蓋もないけど。 筒井真理子って、いつも助演女優とし…

藤井道人監督「新聞記者」2377本目

映画見すぎてるのに、さらに数年ぶりに「ギンレイホール」年間パスポート買ってしまった。バカか私は。で、記念すべき1作目にこれを見ました。やたら評点が高いけどドキュメンタリーではなく、原案はあるけどフィクション。「半沢直樹」みたいな感情過多じ…

塩田明彦監督「さよならくちびる」2336本目

日経新聞をほんの短期間読んでたことがあるんだけど、「私の履歴書」のほかに、あの新聞の映画欄はとっても好きだった。あの欄の紹介を見て、岩波ホールに「五月のミル」とか見に行ったりした。今はネットで見てたんだけど、ここ数か月更新がないということ…

市川崑監督「どら平太」2331本目

市川崑監督、黒澤明らが脚色ですって。すごいけど、それほど構えないで見てもいい、軽めの娯楽時代劇です。 役所広司が主役の「どら平太」。役人だけどわざと不良を装って、街のワルどもを一網打尽にしようと企んでいます。眉毛をキリっと描いてるので、いつ…

石川慶監督「愚行録」2301本目

重ーいカメラだったな。音楽も。なかなか劇場的で魅力的なんだけど、演技には黒さはまったく感じられなかった。それも演出意図なんだろうか?最近の「イヤミス」が原作の映画の中には、役者さんたちが自身の黒さを出し切って気持ち悪いくらいどろどろとした…

石川慶監督「蜜蜂と遠雷」2295本目

原作がすごく好きなので、映画化されると聞いて「ええっマジで」!さっそくすぐに見ましたが、とても丁寧に綺麗に作られた良い映画でした。パンフレットも買っちゃった。小さいころから音楽は好きだったけどクラシックは全く聞かず、パンクとかに流れて今に…

白羽弥仁監督「みとりし」 2285本目

普段映画ばっかり見ている会社員の私ですが、実は「看取り士」の研修を受けている。だからこの映画を客観的に見るのは難しいんだけど、なかなか真っ正面から向き合うのが難しい「死」というものに近づいて、寄り添い、受け入れることをこの映画はあたたかく…

池田敏春 監督「鍵」2272本目

川島なお美、いちばん美しかった頃の姿をこうやって美しい映像に残していけてよかった。彼女が亡くなったのと同じような年齢にさしかかってきて、友人のなかには健康診断でひっかかったという人もいます。この映画が公開された当時とは違う気持ちで、この映…

園子温・山内ケンジ・ 太田光・ 児玉裕一監督「クソ野郎と美しき世界」2266本目

面白かったな。映画というのかこれは?ストーリーもいちおうあって、大団円はあるけど結末はなく、見せ所はたくさんあって下品も上品もある、暴力も愛もある、 芝居もあれば歌もある。ショーというかテレビ番組みたいなものですね。やっぱり、稲垣・香取・草…

荻上直子「かもめ食堂」2259本目

映画の公開のあと、同じ場所に同名のレストランがオープンしているらしい。(kamome.fi)インテリアはだいぶ違いますね。映画ではテーブルとイスは木の地色のままだけど実際のお店では黒っぽい。レイアウトは映画のほうがもっとゆったりしていました。 おと…

奥田瑛二監督「少女 an adolescent」2254本目

監督がテレビのインタビュー番組でこの映画について話してたのを見て、借りてきました。彼自身が演じるインチキ駐在さんが、エロくて悪くていい感じ。彼が惚れる14歳の中学生も、大人と一緒に葬儀の仕事をしているところは大人に見えるし、セーラー服のとき…

大森立嗣監督「日日是好日」2245本目

枯れた映画っていうジャンルがあるのかなぁ。 これとか「モリのいる場所」とか、河瀨直美の一連の作品とか。黒澤明やスピルバーグとかと同じテンションで見始めてはいけないやつ。とはいえこの映画はまだ枯れ切らない、まだ脂っけのある女の子が、生活の節々…

新海誠監督「天気の子」2242本目

まあ今回もびっくりするくらい美しい映像でした。本当に繊細で、いまの日本の技術と感性の粋を集めたという感じです。そして、「君の名は。」につづいて、大人になった監督?によって、<以下ネタバレ?>主人公たちは愛を成就します。ちょっと前の少年少女…

森達也監督「FAKE」2239本目

この映画の公開からもう3年。 ぶっちゃけ、佐村河内さんの会話する姿を見ていて、耳が聞こえないとは思わない。聴覚の病気とか障害っていろいろあって、突発性難聴の話もよく聞く。「ほとんど聞えなくなったことがあったのは事実。そのとき自分は、今後ずっ…

中野量太 監督「長いお別れ」2234本目

山崎努、やっぱりうまいなぁ。蒼井優のモラトリアムな感じ、竹内結子の駐在妻、今もかわいらしい松原智恵子、いい人になりきれなかった中村倫也、とキャスティングが良いです。 認知症をわずらう期間は人によってかなり違うんだろう。私の父は入院してから3…

瀬々敬久 監督「菊とギロチン」2222本目

中島みゆきの歌詞で、道に横たわって人の名を呼んだことがあるか?という趣旨のものがあって(※JASRACに配慮して、趣旨だけ。著作物性は表現にあるからな)、あるわけねーだろ!と突っ込んだことがある人は私だけではないと思いますが、この監督の世界はその…

矢崎仁司監督「スティルライフオブメモリーズ」2219本目

うむ。ちょっとこの映画は”私が見たい映画”という期待に応えきれませんでした。 この監督の「不倫純愛」って映画を見て腹を立てた(笑)ことがあったくらいで、彼が繰り広げようとしているのは、私がイメージしている映画の世界とは全然違う。映画の世界には…

山田尚子 監督「映画 聲の形」2209本目

たくさん借りたDVDの中から、どれを見ようかなって思って手に取ったのがこれだった。なんで今日なんだ。 苦しい気持ちで、もっと苦しくなるかなと少し覚悟してみたら、なんてことだ 、楽になってしまった。きれいで可愛くて優しい世界だった。心配してるつも…

三宅唱 監督「きみの鳥はうたえる」2191本目

そうかこの映画も、佐藤泰志の原作なのか。 著者の若い頃から設定は変えられていて、3人はスマホを使ってLINEで会話し、DJがテクノを流すクラブで踊り、「オリビアを聴きながら」のレゲエバージョンを歌う。 この優しく流れるような音楽がいいですね。Hi'Sp…

阪本順治監督「エルネスト」2184本目

エルネスト、といえばエルネスト・チェ・ゲバラだ。この映画は彼ではなく、彼によってエルネストという戦士名を与えられた日系の青年の物語です。 キューバには今も無料の医科大学があって、キューバの内外、アメリカからも学生が留学してくるそうです。ゲバ…

黒沢清監督「旅のおわり世界のはじまり」2181本目

前田敦子がウズベキスタンをさまよって、「愛の讃歌」を歌いあげる映画を見てきた。こういう映画作っていいんだ。という不思議な気持ち。 日本のバラエティ番組の撮影隊は、誰もやる気がないし、レポーターの前田敦子は、プロ意識はあるけど、カメラが回って…