映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランシス・ヴェベール 監督「メルシィ!人生」1602本目

「奇人達の晩餐会」も面白かったけど、同じ監督のこの映画も最高でした。
え?主役の名前がまたFrancois Pignon?この間みた「奇人達の晩餐会」の模型作りも、そんな名前だったぞ。
全然キャラクター違うんだけど、彼もこの人も経理畑の”面白みのないおバカさん”キャラだ。
フランス語圏でもしかして、この名前はこういうキャラの代名詞なのかな。面白い。・・・と思ったら、「奇人達」であの「嫌味な出版社社長」を演じたティエリー・レルミットが「フランシス・ピニョンを語る」特典映像が付いてた。なんてお得な!

フランシス・ピニョンとは、ありふれた特徴のない男で、親切だけどお節介でやることなすこと失敗ばかり。
ジェラール・ドパルデューもは主役級と認識してるんだけど、脇役もじわじわ良いです。
フレンチ・コメディ、いいですね。人間って・・・。

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クリスチャン・ヴァンサン 監督「大統領の料理人」1603本目

元・大統領の料理人、元・南極料理人 で今は多分地上の料理人、の映画。
南極から始まるので、ちょっと混乱した。どっちの立場も相当レアで、物語になりやすい職業だと思うけど。

食べたことはおろか、見たこともないような美しく美味しそうなお料理がたくさん出てきます。
ググってっみたら、モデルになったDaniele Delpeucheさんは70年代に、すたれかけていたフォアグラ料理などの地方の家庭料理を復活させた人なんだって。彼女が復活させた私の大好物のフォアグラ、今は動物虐待のかどで肩身が狭くなっています・・・。

料理人が厨房で野菜を部下に投げつけたり、調理機器に当たり散らす場面にびっくりしてしまった、とかいうと神経質な客見たいだけど、日本で作る映画だとこういう場面はないだろうな〜
という感じの、なかなか肉食のダイナミックな料理人ですね、彼女。料理一筋の人なんだと思います。人間ドラマとしてはあまり表現されたものがない映画だった・・・。

南極隊の余興で、首相と彼女の寸劇をやるのもすごい。厨房に入ってきて露骨に迫るなんてね〜。フランスってほんと冗談きつい国だ。

アラン・パーカー監督「ダウンタウン物語」1604本目

1976年の作品。
子供たちが演じることもあり、作られた時代がわかりにくい映画なのですが、音楽が・・・「ベンジー」を思い出してしまった。私のイメージする一番いい時代のアメリカ。穏やかで優しい音楽で、いきなりしっとりとしてしまいます。私の大好きな「ベイズン・ストリート・ブルース」に似たメロディ。

映像の方は、「小さな恋のメロディ」で子供たちを使うのに味をしめたとしか思えない(笑)。のびのびとしてて生意気で、実に可愛いんです。
ジョディ・フォスターがこの映画でもすでに成熟した色気を撒き散らしています。「タクシー・ドライバー」の娼婦役より前だけど、なんかすごいものを見た、感じ。もっと前の「アリスの恋」で、男の子っぽい少女を演じた時、すでに只者ならぬ魅力を発散してましたからねー。
バグジーの惚れたブラウジーもチャーミングです。子供の演技って素直で素敵です。

ショーに出るようなファッションモデルは、肌がキレイじゃないといけないから、10代のかなり若い子たちがやってると聞きます。この映画の女の子たちはメイクが濃いので、立派にファッション雑誌のグラビア行けそう。

クリーム銃で人が死ぬという仕組みに理屈が通ってないけど(笑)、パロディとしての出来はかなり高いし、子供達もノリノリで面白かった。

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