映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

テリー・ギリアム監督「未来世紀ブラジル」172本目

1985年イギリス作品。

すごーい、映画でした。
興味深い、変わっている、新鮮だ、斬新だ、という意味で、面白かったです。きわめてヨーロッパ的・・・ビヨークのMVとかにも出てくるような“大きすぎる機械”、不器用で地味な主人公、それと裏腹に果てしなく広がる空想の世界。
理想のヒロインが骨太でアゴの広いゲルマン系なのもヨーロッパ的。

主人公がなにかのヒーローになって、理想の女性と空を飛ぶ空想の世界が、美しくて夢みたい。ヒーローが戦う敵はヨロイカブト。ヒロインが彼を窮地から救い出して、彼らは山奥の小さな町でずっと幸せに暮らしましたとさ・・・。

しかし現実は書類の山、機械、規則、規則。1985年にはワープロもあったし、電子タイプライターのキーボードは今のコンピュータと似たような見た目だったはずなのに、オリベッティの機械式タイプライターみたいなキーボードをがっちゃがっちゃ打つのが、なんとも奇妙で素敵。

新しい驚きを体験させてくれるのが映画の素晴らしさだと思うので、そういう意味で極めて魅力的な作品でした。まだ驚き冷めやらぬ感じです。また何かの時に見てみたい。友達とワイワイ見てみたい。親しい人と2人でまた見てみたい。

そんな感じです。以上。