映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

チャールズ・チャップリン「寄席見物」317本目

これも1914年作品。原題は「A Night in the Show」。
初期のドタバタっぷりがよくわかる、ひたすら暴れまくる20数分間。

二階の安い席のすみっこまで超満員の劇場の中で、おデブの女優さんを笑ったり、席を間違えたり、美人の隣に座って手を握ったり、楽団のホルンの穴にゴミを投げ入れたり…もう考えうる全部のことを次々とやってのけます。蛇使いも出てくるし、ソフトクリームは投げつけるし、パイも投げる…ソフトクリームはどろんとしてますが、このパイは粘り気があってクリームではありません。「batter howler」という言葉を聞いたことがあるので、これは小麦粉に水を加えて混ぜたものだろうか。

ここで「パイ投げ」の起源をwiki(英語)で見てみると、1909年に別のサイレント映画で行われたのが、映画では最初だそうです。1910年代にはパイ1000個を投げ続ける映画も作られたらしい。見てみたいなぁ。

それにしても、コメディって結局のところ人の弱みや立場の弱い人を笑うことなんだなぁ、人間って本質的に残酷なところがある…と思うと同時に、これが本質なら笑われることって気にしてもしょうがないという気もしてきました。