映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アーサー・ヒラー 監督「ある愛の詩」766本目

1970年ってもう40年も前だ。
この映画のことは、大昔からうっすらと知っていたけど、意外な部分もたくさんありました。
彼と彼女はとってもエリートで、いかにもアメリカのエリートらしく皮肉っぽく早口で機知を争うようにしゃべりまくる。「ソーシャル・ネットワーク」みたいだなぁ。

ライアン・オニールは典型的にブロンドでハンサムで知的でカッコよくて爽やか。
アリ・マッグローは機知に富んでいてチャーミングだけど、なんとなく“ジプシー(イメージ)”的な情熱が息苦しいくらい。
これで、愛し合う二人がそのうちうまくいかなくなったとしたら、バーバラ・ストライサンドの「追憶」だけど、この二人は愛の頂点で引き裂かれます。

ロバート・エヴァンスの「くたばれ!ハリウッド」で、一時期妻だったアリのことを忘れられない様子だったのが印象に強く残ってしまっています。DVDに入っている監督インタビューにもエヴァンスのことがけっこうしっかり取り上げられてます。プロデューサーっていいなぁ。自分の作りたいものをイメージして、キャストだけでなく監督や作曲家も選ぶ。

一杯のかけそばとか、高倉健の主演映画とか、北野武監督映画のような、男のロマンを感じます。
でも女性も、こんな女性になってこんな風に愛されたら幸せ、と思えるから、男のロマンにつきあってあげて、二人ともいい気分になれる。

人口に膾炙する、というのは(あくまでもポジティブな意味で)こういう作品のことを言うんだ。