映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スティーヴン・スピルバーグ 監督「シンドラーのリスト」1153本目

1993年作品だって。20年以上昔だなんて、嘘でしょう?
つい最近のように思えます。
公開当時はまだ、ユダヤとかナチとか第二次大戦という言葉さえ怖くて、戦争映画は一切見られなかった。最近やっと見られるようになって、やっとここまでたどり着きました。

リーアム・ニーソンの感情を抑えた演技がとても良かった。全然立派な人っぽくない。
「でも本当は暖かい人だったんだ」と、この映画は表現したけど、生存者たちは「天使ではなかった」と強調する。普通の中小企業の社長みたいだ。

シンドラーって人は、いったい何者だったんだろう。
人が生きるということは、誰かを憎んだり殺したりすることじゃなくて、愛し合ったり笑いあったり楽しんだりするものなんだ、っていうことが(当然のことなんだけど)、ちゃんと身についてた人なのかな。

最後の最後に本物たちが出てくるなんて、ズルいといえばズルいよ。600万人のうちたったの1000人。生き残ってくれて、本当にありがとう、と胸がいっぱいになりました。人を攻撃しない人はいつか攻撃されるんだろうか。世界のどこに行っても、やさしい人ばっかりいじめられてるみたいだ。

人間のなかには、自分が理不尽な目に遭っていると思うと、それと関係ない、憎みやすい人たちを憎む人がいる。この国が被害者になるのは悲しいけど、加害者になるのは耐えられない。
被害者も、悲しいとか言ってられなくなる。生き延びられたとしても、これほどのことのど真ん中にしばらく置かれた人格はおかしくなってしまう。自信を保てた人なんていたんだろうか?

いろんなことを感じたり考えたりするけど、想像でしかないのかもしれない。私もクラコフに行ってみないと・・・。