映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ハミッシュ・ハミルトン 監督「デヴィッド・ボウイ・イズ」1154本目

デヴィッド・ボウイって人は、スター?天才?変わり者?神がかり?
若い頃は、ユニークできらびやかな人だと思ってたけど、彼が年齢を重ねるにつれて、凄みを増してきてると思う。どんどん透き通ってキレイになっていった。若い頃のほうが細くて弱々しかったのに、今のほうが透明だ。
特に「Next Day」。急に肉体的な変化がきてしまって、ますます天国に近づいてしまったようだ。

人は人を傷つけずにいられない。大きなストレスがかかると耐えきれずに自分より弱いものにぶつける、人もいる。そんなの止めろといってやめられるなら戦争なんてとっくになくなってる。
スターとかカリスマになれる人って、世界を平和にするためには、美しいものに夢中にさせるのが一番!とばかりに、人の暗い心まで明るくできる。なんだかわからない力を、神様から与えられてしまった人たち。
ボウイは間違いなく「スター」だ。

ビクトリア&アルバートミュージアムというのは、私が世界で一番好きというか、美しく快適に感じていて、行くたびに帰りたくなくなる場所です。そんな場所で、神様から与えられた、もう透明になりかかっているスターのことを、彼を愛する人たちが誠心誠意作り上げた回顧展なので、個人的にはなんだか涙まで出てくる内容でした。

不思議で、自分にとことん誠実な、一人のスターの記録として、ボウイに興味がない人にも響く映画じゃないかなと思いました。