映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

鈴木清順監督「夢二」2972本目

「陽炎座」に続いて見ると、濃いですねー。なんというか…雅叙園の蔵の中の世界、って感じ。どろりとした妖艶な美の中に耽溺しながら、楽し気にちょっと狂っていく。それが3本続くと、もうストーリーとかどうでもいい気がしてくる。全体を通している美しさは、夢二とはそれほど関係なくて、鈴木清順っていう人の妄想の世界なんだよな。妄想を形にできるのって才能だ。

毬谷友子って、江戸時代の怪しいほほえみを浮かべた美人画の人に似てる気がする。(画家の名前はわからない)笑顔が張り付いたようでちょっと得体が知れないふうなんだ。この映画には、ぴったりはまってますね。

広田レオナは狂言回しなのかな。パワフルで愛嬌があります。宮崎萬純は、透明な美しい板絵みたいなところが、宮沢りえっぽくもある。

しかし何より、一番美しいときの沢田研二と玉三郎が共演してるのが、今となっては得難い見どころだなぁ。

それはそうと、「何度も出てくる湖に舟を浮かべた場面」 は「13日の金曜日(1980年)」がネタ元ですよね。ですよね??

夢二

夢二

  • 発売日: 2015/04/15
  • メディア: Prime Video