映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

サルヴァトーレ・サンペリ 監督「青い体験」2971本目

頭使わなくていい映画が見たくなって、これを選んでみました。

この監督はこういう映画ばっかり撮ってたみたいだなぁ。セクシー・コメディっていうのかな。家政婦ラウラ・アントネッリ、キュートですね。 ぱっと見、セクシーというより可愛い。ヴィスコンティ監督の「イノセント」で愛のさめた妻の役をやったのは、この映画のわずか2年後。

コメディ…のはずだったんだけど、思春期の次男がだんだん、父と婚約した家政婦の彼女をいたぶるようになってきます。泣いちゃったらもう、コメディじゃないよなぁ。。。

なんでそういう成り行きになるかというと、次男ジーノの視点だから。頭がエロでぱんぱんになってる少年の欲望は攻撃性を帯びる。家政婦のほうは、せっかくの結婚話をなんとか実現させるために、次男問題をなるべく穏便に解決しようと、ちょっとくらいなら…と思っている。(甘いのではないかい?エスカレートしたらどうする?)

監督は14歳か!?というくらい思春期の攻撃性をわかってる、という気がするんだけど、どうでしょう?(でもこういう、憧れと紙一重の攻撃性がイジメにもつながるんだよな。次男には早く理性のほうも大人になってほしい)

「いい子だと思ったけどブタだった!殺してやる!」と言って力いっぱい抵抗する家政婦。可愛い坊やに恋の手ほどき、みたいな映画だとばかり思ってたら、軽いバイオレンス映画か?と思ったら、家政婦のほうもそんな「プレイ」にノリノリで、はしゃいで家の中を逃げ回ってる。この二人、精神年齢が同じ…。

無事父と家政婦は結婚式を迎えるけど、この新婦、この先ずっとこのまま貞淑な妻でいるわけないよな、という不安を周囲に与えつつ、イタリアだからいいか…。

疲れた頭にはちょうどいい娯楽映画でした。