映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

三池崇史監督「悪の教典」129本目

2012年11月公開。
今日見てきた。

ヒミズに出てた染谷将太二階堂ふみが出てるってことと、いい人キャラの伊藤英明が殺人鬼をやるっていうのと、三池崇史作品をほとんど見たことがないので、勇気を出して見てきました。家で1人で見るより、友達と映画館で見た方がいいし。

伊藤英明のさわやかで素敵で殺人鬼な感じは、身近なだけに戦慄します。
学生たち、染谷と二階堂は、当然のしっかりした演技だけど、ほかの子たちも十分よかった。先生とできちゃう役の水野絵梨奈もいろっぽい。

しかし。悪人像は浦沢直樹「モンスター」ほど精緻に作りこまれてないし、大量虐殺のカタルシスを得るには、例えばクラスの集団いじめとか、不良グループとか、見ている人にわかる必然性はないし…なんか、ストレスをためてる現代人は、この根拠のない殺しでスカッとするんかな。。ごめん、私には「女囚さそり」あたりまでしかエンターテイメントと思えません。

これを見て戦慄した少年少女は、ますます“いい人っぽい大人”への故なき不信感を蓄積し、ますます“ぼくたちみんなでがんばろう!”という意識を持つのでしょうか。

お化け屋敷的なエンターテインメント性を、極めようとした映画なのだと思います。
そういうのを経験したい人に。
私はいろいろ偉そうなことを言ってますが、ノミの心臓なので、やっぱり怖い映画はダメです(涙)
以上です。