映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ハワード・ホークス監督「暗黒街の顔役」428本目

バイオレンスですねー!
冒頭に「こういう暴力を放っておいていいのか、という問題提起のための映画です」とあるのが、大胆な挑戦状かと最初は驚いたけど、よく考えてみると逆に、「ギャングたちを描くことで暴力礼賛してるんじゃないよ」という当局への言い訳かもですね。wikiによると、原題の「scarface」は当時まだ存命のアルカポネの通称だったそうで。

非情なギャング「トニー・カモンテ」を演じたポール・ムニ、獣のようなところが全くない会社員のようなのに怖いです。
警察のほうもギャングをドカドカ殴るし脅すし、とりあえず拘置所に放り込むし、なんとも荒っぽい。これが当時のアメリカのリアルなのかな。開拓時代の果たし合い文化が、背広を着てもまだ残っている感じ。

ただ、カモンテの性格がひたすら粗野に描かれていてあまり深みが感じられなかったり、銃撃戦の音がちょっと苦手だったりして、個人的にはすこし、“かんべんして〜”な感じ。でした。