映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

山口淳太監督「リバー、流れないでよ」3764本目

何これ面白い!タイトルから内容がまったく想像できなかったけど、それよりさらに意外な内容でした。連休ひまだし、なんとなくU-NEXTで作品を見繕ってみて、コメディということで気楽に見始めたけど、すんごく普通の温泉旅館の日常もののように始まり、ひたすら普通の旅館の人々が異常事態にあたふたするのがなんとも可笑しい。藤谷理子、いいですね。マンガの主人公みたいに普通っぽくてちょっと子どもっぽくて可愛い。なんと、このロケ地の旅館、この人の本物の実家なんですね!ずいぶん階段を上り下りさせられたけど、いちばん走り慣れてるのが彼女か・・・。というより、彼女の実家が旅館である、ということをヒントにして、当て書きした脚本なのかな??

タイムループっていう設定を、昔ながらの日本映画やドラマの舞台になっていた温泉旅館でまったりと繰り広げた、ミスマッチの傑作でしたね。オチのつけ方は、まぁしょうがないのかな。永遠にループし続けるわけにはいかないから、何かSF的な結末をつけるしかない。でも結局のところ、「もしxxだったら」人間はどんなふうに本性をあらわにするのか?という原始的な命題がおおもとにあると思うので、老若男女、古今東西、誰が見ても楽しめそうな作品ができたと思います。