映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アルフレッド・ヒッチコック監督「北北西に進路を取れ」432本目

やっぱりヒッチコックはすごいなぁ。
本当に面白かった。
“スパイに間違われた男”なんて、誰でも思いつく題材だし、とんでもない仕掛けがある映画でもないのに、なんでこんなに面白い!と感じるんでしょう。やっぱり「神の視点」なのかな。何を伝えたいかじゃなく、人間どもが何を見たがっているか、ということを熟知して、うまく観客をくすぐるのです。

ちなみに原題の「North by Northwest」は、昔よく使ってた(今は亡き)ノースウェスト航空が、宣伝用のキャッチコピーに使ってました。主人公が空港のカウンターに行く場面でもノースウェスト航空だったし(超レトロでした)、これってノースウェストの広告の入った映画なの?

主役のケーリー・グラント、軽妙でかっこよくて素敵だけど、Blue-ray復刻版で見たからか、けっこう年いってますね。このとき55歳か!相手役の、知的な美人エヴァ・マリー・セイントは35歳で28歳の役どころ。どっちにしても大層な歳の差婚だ・・・。

偽タウンゼントを演じるジェームズ・メイソン、よく見る悪役…と思ったら「ロリータ」のロリコン(文字通り)おじさんでした。癖があるなぁ!なんかイヤーな感じの役ばかり。本当にうまい、イギリスらしい俳優さんですね。