映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・ヒューストン 監督「許されざる者」864本目

1959年作品。
クリント・イーストウッド渡辺謙の「許されざる者」とは別の作品なのね。
渡辺謙のだけ見たので、舞台が西部とはいえずいぶん違うな、などと思いながら混乱してしまったおバカな私です。

冒頭で驚いたのは、キャスティングの豪華さ!
やけに日焼けしたオードリー・ヘップバーンと、もしやこれはリリアン・ギッシュ
イントレランス」→「八月の鯨」の中間くらいでしょうか?
小柄で目がものすごく大きく、少女のように可憐な姿。彼女は中高年のころ、こんな話し方をしてたんですね。
この映画では肝になる役どころで、沈黙を通す芯の強い女性を印象付けました。
バート・ランカスターも野性的で素敵だし、「カイオワ族」(字幕はそうなっていても、セリフにはIndianという言葉がよく出る)のリーダーも素敵だけど、この映画の構成は、呪いはあったけれどなんとか生き延びた、というふうで、今の時代の私としては、原住民を何十人も殺戮してしまうことをどうしても肯定できません。
当時は、「それでもしょうがないよ、なんとか生きていこう。しかし心には傷が残った」くらいの感じで終われたのかもしれないけど、後味が悪いです。