今見られる映画の中でも最古の部類に入ると思われる、1919年の作品。ワクワク。
最初のしばらくは上海の本物の情景が続くので、どこの映画だっけ?と思いますがアメリカ映画。彼らはこの街を当時こんな風に見たんだな・・・。エキゾチックな美しさと賑やかさにあふれた、活気のある街です。ただ、主役の青年が中国人という設定なのはちょっと冗談に思えるくらい、完全に欧米人ですねー。(※「八月十五夜の茶屋」のマーロン・ブランドの努力を見習ってほしい)
ロンドン編ではリリアン・ギッシュが大きな瞳をウルウルさせて登場します。すごく可愛いけど猫背でよちよち歩くし、服装も「おばあさんのケープ」みたいなのを羽織ってる・・・いやよく考えたら、ちょっと昔のおばあさんたちがこういう格好をしていたのは、若い頃からずっとなんでしょうね。こういうケープが当時の流行の装束だったってことですね、多分。彼女が90歳を超えた頃の「八月の鯨」を昔見ましたが、おばあさんっぽくない現代的な女性だった記憶がうっすらとあります。成長してからも、ピシッと筋の通った強くて可愛い姿だったなぁ、ずっと。
この頃の俳優って、男性も女性もただ美しいというより、清らかな天使みたいな風貌、立ち居振る舞いですよね。
もう設定が、かわいそうでかわいそうで救いはないけど、魂が天国に登って行くようのが見えるような清らかさ。いつの時代でも人間には、汚れのないものを求める気持ちってあると思います。「ある愛の詩」とか、今なら「この世界の片隅に」とか・・・。忘れがちな心の琴線に触れる映画でした・・・。
※彼女が彼を英語字幕で「Chinky」って呼ぶのがちょっと衝撃。親しみを込めて「y」をつけても今では差別語として絶対に使われないから。でも昔は普通に使ってたのね。グリフィス監督はKKKの映画(國民の創生)を作っ他のは、彼がそのとき黒人は暴力的だと思ったからで、平和を愛する中国の仏教は善きものだと思ったのかな。既存の位牌を今死んだ人に捧げることはないとか、僧侶はあんな格好してないとか、殺人も自殺も普通しないとか、仏教に対する理解は少なかったみたいだけど、憧れがあったのかな・・・。
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