映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

宮崎吾朗監督「ゲド戦記」146本目

2006年公開。

面白いロールプレイングゲームみたいな映画だった。
貧しい身なり、思いもよらぬ出自、予想だにしない出会い、魔法使い、すごくいい人、すごく悪い人、恐ろしい悪意、すべてに打ち勝つ魔法、死の淵、大団円。
面白いんだけど、全体を通じて伝えたい熱いものが感じられない。そういうのを期待しない人に向けて作られている。そういう意味でロールプレイングゲームみたいだと思う。
とても良くできているし、キャラクターは魅力的だし。

アニメに声優じゃなくてリアル芝居の俳優を使うのって、どういう意図だろう?
私の感覚では、クモの田中裕子とウサギの香川照之は秀逸、ハイタカ菅原文太とテナーの風吹ジュンはいいけどたまに物足りない。アレンの岡田准一は、たまにやりすぎる。
リアル芝居の俳優さんは、目や背中で芝居をすることもあるから、それがない状態をイメージするのがすごく大変なはず。そういうリスクを覚悟でリアル俳優を使うのは、そこまで声優さんたちに絶望してるのかな。(ジブリほど高い完成度を求める人たちが、単に人気のために有名俳優を使うわけではないと思う。)

Wikiに、ゲド戦記の設定は使ってるけど筋はかなり替えてるって書いてあった。もし本当なら、それはちょっとまずくないかな?自分が同じことをされたら、構わないにしてもタイトルは替えてほしいと思うんじゃないか?

ハイタカが乗る、馬みたいなロバみたいな動物が可愛いかった。以上。