映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ダニー・ボイル監督「28日後」186本目

2002年作品。着々と実績を重ねていたのですね、この頃この監督は。

一言でいえば「ゾンビ映画」なんだけど。スリリングに作ってあるなぁ、と思いました。
“生物が凶暴化する、おそろしく感染力の強いウィルスがばらまかれた。”最初の感染者の幸せな生活、事故のような感染、それから数名に感染・・・というように時系列的に描いていくようなことはしないで、28日後から始まるところが非常に面白いです。

静かな世界に静かに流れる音楽。ロンドンのストリートに転がる紙屑。どきどきしながら、怖いけれど何かが潜んでるかもしれない町をいっしょに探検していきます。
スプラッター的な場面はそれほどないんだけど、安心しきっている場面を見るとかえって、物陰から突然ゾンビが出てきそうで心拍数が高まります。

主人公の二人。キリアン・マーフィー演じるジムは、最初は弱弱しい感じなのが、だんだんふてぶてしくなってきます。ナオミ・ハリス演じるセリーナは逆に、強く現実的なのに弱さも見せるようになります。クライマックスにいくにつれて、だんだん何故誰が誰を襲うのかがおかしくなってきて、“なんとかオブザデッド”のようになっていきます。一部ちょっとやりすぎでは、と思う部分も・・・。

イギリスと日本は、島国という意味で環境が似ていてこれが日本で起こったらどうなるんだろうと想像してしまいます。国境を越えて感染することもないけど、国ごと隔離するのも簡単・・・。

心も体も健康で強い何人かが、最後にいちるの希望をつなぐ・・・というのも、いつものダニー・ボイル節。面白い映画だったし、次にさらに大きなものを作ってくれるだろう、という期待も残しました。以上。