映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アンドリュー・ニコル 監督「ガタカ」884本目

何でこの映画を見ようと思ったんだっけ。
確か「ハリウッド白熱教室」か何かで取り上げられたのかな?

イーサン・ホークって、ハンサムでもないし普通にいそうな感じなんだけど、この人の出てる映画には説得力がある。だから見ようと思ったんだ、多分。ユマ・サーマンの目力とジュード・ロウの拗ねたエリートっぽさも良いです。SF映画なのに、ごく少数の人たちのせめぎあいが中心で、濃い時間が過ぎていきます。この濃密さが、嘘を知っている観客にも緊張感を与えます。こういう緊張って苦手なんだよな〜。私にはこういうウソにウソを重ねるような真似は絶対できない〜〜。

”兄と弟の宿命の再会”のシーンは、そういう意味でほっとしました。荒々しい、感情をぶつけ合う生身の感じがあったからです。私にとっては、遺伝子操作で生まれた完璧な人間が勝つかどうかより、感情を完全に抑え込むことと人間らしく生きることの対決のほうが実感があるってことだな。

検査機器にウソをついて、意志の力でやりぬく人がいたっていいじゃないか!
それにしても、第二の遠泳対決から後の作りはヘボいですね、この映画。アントンが負けたところも印象が薄いし、アイリーンとのこともあっさりしすぎてギャグマンガみたいだ。(あれ、上映時間より早く終わった。編集されちゃってるのかも?)

いろいろ変なところはあったけど、イーサン・ホーク演じる普通の男が真剣になにかに挑んで、突き抜けた、という映画でした。