映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

今泉力哉 監督「愛がなんだ」2422本目

原作がいいんだろうな、この映画の面白さは。役者もそろっています。岸井ゆきの、いいなぁ。成田凌も、なりきる力が高いけど、ほんとのところどういう人なんだろうなーと思わせる。

この映画も、学校内ヒエラルキー関連映画みたいで、惚れられたものが強者で惚れたものが弱者。この優劣関係はぜったいに覆らない。テルコ→マモル→スミレ、ナカハラ→ヨーコという一方向の愛情。私はスミレに一番近いと思うので、ヒエラルキーものの映画に共感できないんだけど、世の中の人はすぐに上か下か決めたがる一方、私は人の上に立たないことを旨としているので下に見られることが多くてよく腹を立てます。下だと思ってるから親切にしてるわけじゃないんだが。

中でもナカハラが尽くし型ストーカー王だな。そこに現れるマモルの友達、中島歩。「花子とアン」で蓮子と駆け落ちした文学青年ふうのイケメンだ。常にマモルを意識しながらテルコは彼と付き合うのかな。

愛と執着。愛ってほんとわからないけど執着=愛ではなくて、憎しみ→執着ってのもある。テルコのすごいところは、自分のしつこさが「好き」じゃないことをからっとわかっていて、自分を哀れんだりしないところだけど、そういう風だからこの関係性から抜けることもない。

男女関係なく、好きな人や心配な人っていて、だいたいそういうのってウザがられるのが関の山だ。親子でも友達でも。でも、そういうのが面白いんだよね…。