映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

阪本順二監督「半世界」2421本目

阪本順二監督の作品は、すごく好きなのとピンと来ないのに分かれる。これはどっちだろう?

私は「SMAPで誰が好き?」と聞かれて「稲垣くん」と答えてたクチだけど、この映画の彼はまったくアイドルっぽさが無い。オーラを消してる。「日常に埋もれてるけどよく見るといい男」。だって妻が、ふつうの存在感の女王、池脇千鶴だよ。それと、映画人 長谷川博己と渋川清彦。ああ、好きなほうの映画の匂いがする。彼ら3人は本当はもうとっくに40代だ。そのラインを超えた落ち着きが本当はあるよね。40スレスレなのは池脇千鶴。

しかし細かいことをいうと、稲垣くんは姿勢がよくて重心が上のほうにある。炭焼きなら重心は下半身のはず。手つきも丁寧できれいで、やっぱり炭焼きではないんだよね。でもそんなのは些細なことで、かなり風景にしみ込んでいます、稲垣くん。むしろ長谷川博己のほうが田舎の人に見えない。(自衛隊から帰ってきたばかりだから、いいのか)

この結末である必要はあったのか、なかったのか、よくわからないし、今後どうするのかは息子の決意もよく見えないまま(ボクシングやりたいのはよくわかるけど)で、どう捉えたらいいのかちょっと難しい。私には炭焼きが、二等辺三角形の一辺というより、「やじろべえの支点」に見えて(なぜならいつも窯の前にじっとしているから、かな)、支点がなければやじろべえはバラバラになると思った。

この役は稲垣くんでなければ、誰が適役だっただろう?長谷川博己がやったかも。で、自衛隊の役はもっと強面の…誰がいいかな…

すみません、きりがないのでこのくらいにします。

なかなか趣のあるいい映画でした。