映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ルカ・グァダニーノ 監督「サスペリア」2642本目

<ネタバレあり>

Amazonスタジオが豊富な資金で制作した作品。アメリカのドラマみたいに、かなり刺激的。モヤモヤもいっぱい残るけど、面白かったです。

ダコタ・ジョンソンが主役というのが面白いですね、彼女は「フィフティ・シェイズ」シリーズでは運命に翻弄されながらも自分を保ち続けた女性でした。オリジナル「サスペリア」のジェシカ・ハーパーも、純粋だけど弱弱しくなくて元気な女性だったから、意外と近いイメージなのかもしれません。(ただ、結末を考えるとこのキャラクターは地味すぎるというか説得力が弱い気もします。抑えながら演技するのも難しかっただろうけど…)

オリジナルの舞台は監督のお膝元のイタリアでしたが、今回はベルリン。これは世界中のオーディエンスを集めるという意図かなぁ?

で、彼女たちが踊る「民族」(folks)ですが、これは拳法ですね。太極拳をかじったときに「ひじで突いて、顎を刺す!」みたいなすごいことを唱えながらシャドウ拳法をする感じで指導を受けましたが、それをオカルト化するとこうなるのか。

ストーリーとしては、ダコタ・ジョンソンを中心に「民族」を踊ることで彼女になにかを召喚しようとしたら、ラスボス出現しちゃって中間管理魔女たちが駆逐されてしまったということなのかな。彼女のその変化の前後がもう少し明確に見た目とかで示されていたら、もっと説得力のあるストーリーになったんじゃないかな?

ティルダ・スウィントンは、ゾンビ映画でも魔女映画でもすとんと入り込んで持ってっちゃう。現在のジェシカ・パーカーは昔どおりの愛嬌のあるおばちゃんで、会えてうれしかった。それにひきかえクロエ・グレース・モレッツ…黒髪で出てきて、ほぼゾンビのような姿でひたすらさいなまれるだけの可哀想すぎる姿…。

文字通り首の皮一枚でつながっているティルダ・スウィントンが生き返りそうな雰囲気があったし、ラスボスは元気いっぱいなので、まさかの「新サスペリア2」は十分計画されているように思えます。

Suspiria サスペリア

Suspiria サスペリア

  • 発売日: 2018/10/26
  • メディア: Prime Video