映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アキ・カウリスマキ監督「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」3653本目

U-NEXTに未見のアキ・カウリスマキ作品がいくつも入ってきたので、喜んで次々に見てみたいと思います。1994年作品。1989年の「ゴー・アメリカ」の二匹目のどじょうってやつですね。レニングラード・カウボーイズは「ハノイ・ロックス」と同様、関係ない地名が入ってるけどフィンランドのロックバンドなんだよな。そんな奴らが今度はモーゼに会う?と思ったらモーゼはインチキ予言者風にふるまうだけの元メンバーで、この映画に旧約聖書的なものを期待すると肩透かしをくらいます。

受付がアフリカ系なだけで、カティ・オウティネンが働いていそうな暗い木目調の店。ぜったい地元ロケだ。そういえば砂漠をロバで行く場面も、なんか寒々しくて、今置いたようなサボテンが1つだけあって、アイスランドみたいだった。海外ロケはほとんどやってないのかも・・・(コニー・アイランドで遊ぶ映像だけなら、ごく少数のキャストとスタッフで足りる)

顔を茶色に塗って「マチェーテ」みたいな付け髭をつけた彼らは、よく聞いてみるとアミーゴとかウノとかバモスとか、巻き舌で怪しいスペイン語を混ぜた英語をしゃべっています。ここまでは字幕で再現できない。

パブで金髪女性と歌う「バビロンの河(ボニーMでしたね)」だけは、旧約聖書に関連がある歌だったのかな。旧約聖書といえばユダヤ教だけど、フィンランドにはユダヤ人はどれくらいいるんだろう。モーゼをテーマに選んだのは、監督が常にマイノリティに目を向けるのと関連してるのかな。・・・シリアスなカウリスマキ作品をだいぶ見たあとなので、深読みしたくなってしまうのでした。