映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

松本人志監督「さや侍」62

2011年作品。

これで、今までに公開された松本人志作品は全部見たことになります。
NHKでやってた「松本人志のコントMHKスペシャルで、この作品をヨーロッパで上映した時の観客の感想インタビューをやってましたが、絶賛する人たちにまぎれて「大好きだったのに、がっかりした。もう見ないと思う」という人もいました。
この結末は確かに・・・・。

松本人志の笑いって、イジメとスレスレですよね。(欽ちゃんもそうです)不器用な人にわざと戸惑うようなタスクを与えて、うまくやれない様子を笑う。そこには、人間ってダメだよね、切ないよね、はかないよね、そこがおかしいんだ。…という無常感があります。その無常感がこの映画の結末では強く出すぎているような気もします。それはサムライとして、男としてのプライドでもあるのかもしれません。彼の考えを突き詰めていくと破壊的な方向に向かっていかざるを得ないのかもしれないけど、もう少し肩の力を抜いて見られる娯楽作品でいいんじゃない?という気もします。

日本には自分の命を軽くみる文化がある…ということは戦争だけでなく、歌舞伎とかを見ていても思います。愛する人の命は何が何でも守るけど、自分の命を差し出すことを厭わないのが美である、という。
そんなことを考えたりしました。

次の映画は、人を殺し続ける宿命を背負った座頭一とかゴルゴ13のような殺し屋が主人公の血なまぐさい映画なのでは?などと思いつつ今日のところはこのへんで。