映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト・ライジング」583本目

ダークナイト」に引き続き、みっちりと構築された傑作でした。
爆破シーンの見事さ。キャットウーマンのバイクのUターンするときのカッコよさ。
ストーリーも何もかも、お祭りのような騒ぎをあえてしないで、じっくりと抑えています。

しかし暗いなぁ。
画面のおだやかな暗さが、少し心がウツに傾いているような、不思議な落ち着きをかもしだしています。
クレイジーとか気持ち悪いとか、という感じではないです。暴力を描いているけどあまり暴力的ではなくエレガント。よく練った構成、ショッキングだけど見苦しくはない破壊。

ベインという悪役像は、半アンドロイド的な器具を装着してしゃべる声がダースベイダーを思い出すけど、ルックスはベトナム戦争の映画みたい…。

登場人物も、みなインテリジェントで熱いんだけど、通奏低音のような暗さがつきまといます。みょーな魅力。
なんなんでしょうね、この抑えた暗さは。抑えてあるから画面に見入ってしまって、引き込まれるのかな。
とか思いました。