映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

李相日 監督「怒り」1561本目

原作の作家も映画の監督も好きなんだから、こんな力作レンタルになる前にたまには映画館行けよ、私。

宮崎あおい、すごい女優さんだと思った。立派な役をやるときの彼女はいつも同じような気がしてたけど、汚れ役をやると、かえって彼女の強い輝きが際立つような気がします。
妻夫木聡はこの監督の「悪人」で一つ突き抜けたすごい俳優さんになった人だし、この映画でも覚悟して演じたんだと思う。ゲイ役で髭面もセクシーです。
松山ケンイチも、いつも本物感がある。マツケン感もあるけど。渡辺謙もだ。
次々に、俳優さんたちが画面に現れるのが楽しみで仕方ない。それだけでもいい映画だなぁ。

この映画の「怒り」と、韓国的な「ハン」がどう違うのかよくわからない。
この映画でいう「怒り」と「愛」の区別も難しい。「悔しさ」にも似てる。
カタルシスを得られなかった深い思い。
感情って簡単に分類できるものじゃないな。

激しい場面ほど静かに流れる音楽、いいなぁと思ったら坂本龍一じゃないですか!なるほどです。
この映画を見て宮崎あおいの慟哭や妻夫木聡の悔恨に同調した人は、胸に深い傷を負ったことのある人なんだろうなと思います。やっぱり吉田修一も李相日も好きだ。

怒り

怒り