このタイトル、「予告された殺人の記録」みたいだな。あのお話では、ある人がある人を殺すために探し歩いていて、何人かはそれを阻止しようとしているのに阻止できない。この映画では、誰にも言っていなかった秘密のはずのことを、実は長年みんな噂していた。そういう、表裏のある深い感情をともなう濃い人間関係って、南米的だと感じる。
ただ、そういうお話ってエンタメ作品として盛り上げにくい。
この映画は、ハビエル・バルデムとペネロペ・クルスっていう二大俳優の演技が、うまいし華があるし、見ごたえがある。映画の魅力って監督の技量だけに負うものではなくて、俳優だったり、脚本だったり、撮影だったりもする。この映画は他の俳優も含めて、演技力の勝利だなぁ。
二人の共演を見るのはウディ・アレン監督「それでも恋するバルセロナ」以来なのですが、あっちは、プレイボーイのハビエルと、その前妻の激情型不思議ちゃん系アーティストのペネロペ、というこの映画とは極端に違う役どころ。思いだすにつけ、この二人の演技力の確かさにうなってしまいます。