映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジム・シェリダン 監督「マイ・レフト・フット」1961本目

1989年のイギリス映画。・・・ここまで聞いて私はきっとサッカー選手の「黄金の左足」の映画だと思いました。全然違った!

この映画でのダニエル・デイ・ルイスの演技がすごいって聞いてたけど、本当にすごい。「バリバラ」のおかげで脳性まひの人たちがワルぶったり悪態ついたりするのを見ても驚かなくなったけど、この映画はまだ20世紀です。今から30年も前です。映画の中の彼が本当は“健常者”だなんて信じられない。変な話だけど、原作者のクリスティ・ブラウンの写真を探して見てみたら、この映画の中のダニエル・デイ・ルイスのほうがリアルに思えてしまった。特に演技力のある役者だと思うけど、彼がこれほど近づけるなら、私たちにも少しは脳性まひの人たちの気持ちに近づく余地が、もしかしたらあるのかも・・・と勝手に期待してしまうのでした。

 クリスティの左足は、どこかの名選手の「黄金の左足」よりすごい。めちゃくちゃよく働く。クリスティの母のブレない正しさと愛情も素敵。

今ハリウッドでこの映画を作ろうとすると、本物の障がい者を使うべきだ!って議論が起こるんだろうな。それもいいかもしれないけどね。

マイ・レフトフット [DVD]

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