映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

黒木和雄 監督「キューバの恋人」1726本目

1969年の、日本・キューバ合作映画。
そんな映画があったんだね!
キューバ革命10周年記念だって。日本には今も共産党という政党があるし、ゲバラの娘が赤旗に呼ばれて来日したことがあるというし、意外な接点があるってことかしら。
ゲバラキューバ革命を終え、ボリビアで亡くなったのは1967年だから、この映画は悲しみの中で作られたのかな。

黒木監督このとき39歳。この映画の制作に関わった、少なくとも何人かは、本気で日本でも革命を起こそうと思ってたんじゃないだろうか。若き津川雅彦が「日本でも革命を起こしますよ!」って言う場面があったりする。でも、現地でいろんな記録や跡地を見て、自分たちなんて甘ちゃんだと思って作った映画、という感じがします。

白黒映画なので、キューバの明るい色彩が全く感じられなくて残念。年末に旅行したときに私が見た古いアメ車のドライバーたちは、昔の暴走族みたいにパラパラパラパラとフレーズを鳴らし交わしていて、常に笑顔が絶えなかった。そういう生来の朗らかさのことも、見せてほしい気がします。映画の中のキューバは、50年後のキューバのようにのんびりとしていなくて軍事国家みたいだけど。

津川雅彦スペイン語をぺらぺらとしゃべる日本人プレイボーイ、アキラの役。休暇中でキューバに滞在してるといってもブルジョアではなく船員だそうです。

主役の女優さん、表情が固いな。あまり演技経験がないのかな。「合作映画」というには、日本情緒をそのまま持ち込んだ雰囲気の映画です。そこに馴染めなかったのかもなぁ・・・。

ゲバラ邸に行ったら、あるドイツ人女性兵士に関する展示がたくさんあった。そういうのにヒントを得て作られた映画なのかもな、と思いました。

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