映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

オットー・プレミンジャー監督「栄光への脱出」2321本目

意外と昔の映画です。1960年。2019年から振り返ってみると、イスラエル建国からわずか12年、と感じます。独特のケレン味のある映画を撮ってきたプレミンジャー監督が、イスラエル建国の経緯を本気で撮った大作。この監督なんとも好きなんだよなー。ちょっとだけ無駄に濃いかんじの映像づくり。キプロスの商人を演じてるヒュー・グリフィスの容貌も濃いけど!

ポール・ニューマンや、北欧風美少女カレン役のジル・ハワースや明らかにイタリア系のサル・ミネオはユダヤ人に見えない(私のイメージでは、オスカー・アイザックとかビリー・ジョエルとか、女性は細面で髪は濃い栗色でウェーブしてる、とか)けど、いかにもな容貌の人たちを集めるのが目的の映画ではないです。誤解をおそれずにいうと、それぞれの役割をそのまま表したような風貌の人たちがキャスティングされているようで面白いです。

船の名前がエクソダス。「出エジプト記」もエジプトから虐げられるユダヤ人を連れ出します。彼らの長年の苦難や、このタイトルに込めた思いが胸にくる・・・。

この監督の映画は、まるで公開当時の1960年頃のような、平和な観光客とガイドの光景を冒頭にもってきたりする構成など、見ている人を楽しませ、飽きさせない工夫がたっぷりなので面白く見られるんですよ。ただ、第二次大戦が終わってからイスラエルが建国されるまでの歴史が私の中に入ってないので、ふっと気を抜くとストーリーがどこに行ってるのかわからなくなります。2回見直したけど、まだちゃんと把握できた自信がない・・・。結局映画って、見るものの教養によって届くものが全然違ってくるんでしょうね。もうちょっと普段から精進しとけ、私・・・。

栄光への脱出 [DVD]

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