アメリカか、でなければフランスのハートウォーミングな家族ドラマ、というしつらえなんだけど、イタリアが舞台の映画。ドイツ映画で「ハートウォーミングな家族ドラマ」をやるには、イタリアの明るさや軽さが必要だったのかもしれません。(※バグダッド・カフェのヤスミン=この映画のマルゲリータのほかに)
実際、※をつけてしまうくらい、彼女の太陽のような温かさと家事能力は「バグダッド・カフェ」によって性格づけられた既存のキャラクター設定なので、借景のような感じすらおぼえるのですが、全体的にはあのようなおとぎ話ではなくて現実的なストーリーだし、彼女を懐かしく嬉しく見てしまった人も多いんじゃないかと思います。つまり、使ったもの勝ち。
ヤスミン=マルゲリータという偶像は、明るくやさしく賢く生きて、周囲の誰もを幸せにするというあり方なんですよね。この映画の原題は「オマ・ミーア」という、「マンマ・ミーア」をまるごとパクったタイトルで、内容もまさにそんな感じだけど、バグダッド・カフェのヤスミンを借景としている分だけ、なんとなく含蓄に富んだ感じのする映画なのでした。