映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フリッツ・ラング監督「マンハント」2563本目

102分の短い作品なのに、一人のイギリス人男性の、彼の人生における重大な局面のサバイバルが濃すぎて、3時間くらいの大作のような感じがします。

第二次大戦の開戦前、ドイツ某所でヒットラーを銃撃しようとしたイギリス人が捕まります。本気じゃなくて、スポーツ射撃で目標を定めただけ…なんて言い訳がナチスに通用するわけないじゃないですか。この人おばかさん?と思うくらい、2020年に見るとお気楽。

主人公はヒットラー暗殺ニアミス→デンマーク船籍の船にしのびこんで命拾い→ロンドン上陸したところで美しいお嬢さんと出会うものの、ナチスの追手に追われる。お嬢さんにプレゼントしたのは、なんと、矢じりの形のアクセサリー。(いやこの形はないでしょう)→<以下急ですが、ネタバレ>お嬢さんが”遺体で見つかる”のって、ちょっとあんまりでは…。→追手を返り討ちにして、なんとかして無事脱出。でも、愛した女を、祖国をナチスから守るために、自分はもう本気でドイツに立ち向かうのだ…。

それにしてもラング監督は、ドイツにいたときはナチスのお抱え監督になろうとしたって話もあるのに、ハリウッドに跳んだとたん、どんな気持ちで反ナチス映画を撮り続けたんだろう。彼自身がナチスだったわけではないし、どんな人でも生き延びるのに必死だった時代なんだろうな。

なかなかお腹いっぱいになる大きなドラマなんだけど、フリッツ・ラング作品の映像には、どこかピシッとしていてクールで緊張感があって、いかにもゲルマン的な魅力がたくさんあるのです。

マンハント

マンハント

  • 発売日: 2018/08/10
  • メディア: Prime Video
 

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