映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

山田洋次監督「キネマの神様」3380本目

ギャンブル中毒の元助監督を、志村けんでなく沢田研二がやるのは知ってたけど、その若いころは菅田将暉なんだ。で、宮本信子の若いころが永野芽郁。でも映画監督役がリリー・フランキーとは知らなかった。俳優畑の出身でない人が、山田洋次監督作品で映画監督の役って、なんかすごい気がする。

菅田将暉が志村けんになるよりは、沢田研二になるほうが自然な気もする。(私はもはやTOKIOの頃のジュリーを期待してないから大丈夫)…いや、たまに、彼が志村けんに見えてくる瞬間があるのはなんでだろう?魂が現場をのぞきに来てたのかな・・・。

その娘は寺島しのぶ、そのまた息子はよく見たら「まえだまえだ」の前田旺志郎か。キャストはみんな熱演だけど、私でも「どこかで聞いたような」と思う脚本をちょっぴりリライトしただけで最高賞を取る設定って・・・。映画のことを長年忘れて(あるいは忘れようとして)、家族をないがしろにしてギャンブルにおぼれてきた男を最後に持ち上げすぎてるよね?それとも、ここまで落ちてしまっても映画を思い出せば天国へ行けるよというのか。

沢田研二が歌う場面があのようなただの飲み会なら、「東村山音頭」は止めて「TOKIO」でもザ・タイガースの頃のヒット曲でも歌ってもらえば良かったのに。歌手に対して失礼じゃないでしょうか・・・。やりきった沢田研二は偉いと思います。(映画での使用料をJASRACとかに支払い済でもう返してもらえなかったので、変更がきかなかったのかな・・・。)

ゴウは映画を離れたあと、何をやって生きてきたんだろう。テラシンがその後どういう人生を送ってあの映画館を作り、長年維持してきたのかも、見てみたかった。

映画を作りながら死ぬのは難しいけど、見ながら死ぬのはできそう。ただ、映画館で見ることしか「映画を見る」とは呼ばない、という人にはやっぱり難しい(というかすこし迷惑)かもしれない・・・。

キネマの神様