映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

常盤司郎 監督「最初の晩餐」3585本目

このタイトル、最初に使ったもの勝ち。この引きの強さ。

でもこの映画のなかのどれが「最初」の晩餐だっけ?と思ってしまった。(わかるようになってたのに見逃したのかも)

永瀬正敏側は染谷将太と戸田恵梨香の姉弟、斉藤由貴側は窪塚洋介という子持ちどうしが再婚するけど、ある日窪塚洋介が家を出てしまう。その後何年も経ってから、父・永瀬正敏が病死し、集まった兄弟と母が家族の過去を静かに振り返る・・・という作品でした。

染谷将太と戸田恵梨香はいつものようにうまい。斉藤由貴はさらにうまい。戸田恵梨香の少女時代を演じた森七菜は忘れがたい印象があった。と、見ごたえのある作品だったのですが、ストーリーの重さは、理解できるけど、じわじわ入ってくる感じではなかった。なんとなくまだ、この作品は「語りつくしてない」ように私は感じてしまいました。

勝手に副題を付けるとしたら<以下ネタバレかも>「略奪婚、その後」かなぁ。どんな人にも、好きになってはいけない人に恋をして、大切な人をとんでもなく傷つけてしまう可能性はある。その痛みをそれほど極端に描かなかったのは、むしろ、監督がその状況をよく理解してるからだろうか、とも思う。でもやっぱり、あと半歩踏み込んでみせてほしかった気がします。あくまでも私個人としては。

最初の晩餐

最初の晩餐

  • 染谷将太
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