映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ダリオ・アルジェント監督「わたしは目撃者」3591本目

イタリア製スプラッターホラー映画の金字塔「サスペリア」のダリオ・アルジェント監督の、それより以前の作品。音楽や映像がなんとなく「テレビ映画」と呼ばれるサスペンスドラマっぽい。「刑事コロンボ」みたいな。

でも刑事コロンボより、いちいちあおってくる。トリックにヒネリはない。・・・でも、この「あおり」に押し切られて、けっこう最後まで面白く見てしまいます。

というのも・・・探偵役を務めるのが盲目の元新聞記者の中年男性で、彼を助けてるのか、怪しいのか、よくわからない若い新聞記者がそれにからんでくるんです。盲目の男の小さい姪や、疑わしい研究所の美女スタッフや所長の娘、アク強めのさまざまな人物が場を盛り上げます。

研究所が扱うのは人間の遺伝子で、ある遺伝子を持つものは犯罪傾向が強いので隔離する、なんていう、今では許容されない差別政策が話題になったりしている1970年代のヨーロッパです。こういうのって・・・放送禁止歌を聴いているような時代錯誤感があって妙にどきどきしますね。・・・という感じで、個人的にはなかなか楽しめました。