映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スタンリー・キューブリック監督「ロリータ」366本目

1962年作品。
キューブリックだしロリコンの語源だし、必見!ということで見ました。Huluです。

もうピーター・セラーズ最高!
博士の異常な愛情」と同じように、いろんな役をインチキ臭く演じ分けて、彼をフィーチャーし過ぎ感もあるけど、この人の狂った饒舌っぷりははっとするほどイカれてます。小さい背の高い女の子、普通の顔の普通の……もろもろ、、。心理学の先生のときは訛りも違うしどもってみせたりするし。もはやキューブリックは、彼を中心にこの映画を作ったといってもいいのでは。

ロリータちゃんは可愛いけど、思ったより”妖艶”じゃなく、普通の明るいアメリカン・ガールで、それより父親になって彼女を狙う中年親父のいやらしさが際立ちます。ロリコンの映画ではなくて、家庭内未成年虐待の映画だと感じました。

ジェームズ・メイソンは、何でも演じられそうな実在感のある俳優さんですね。日本だと緒形拳…よりは脂っ気が少ないか。

映画全体は完成度が高いけど、ロリータちゃんが意外と普通だったので、それほど緊張感なしに見られました。ヒッチコックより楽、と思います。