映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

松田定治監督「丹下左膳」495本目

1958年、丹下左膳を大友柳太郎が演じたものです。
映画がカラーになったばかりのこの頃の時代劇って、本当に登場人物たちが生き生きと、美しい着物を着こなして誇らしげに演じていますね。
いまの時代劇を見ても、着物がきゅうくつそうに見えてにそういう華やぎを感じにくいのは、時代劇が徐々に減ってきて、出演者たちが小さい頃から時代劇に触れていないからかな?この映画のなかの人たちは、「一世一代の舞台」、結婚式にでも出席するような生き生きとした表情をしています。

大友柳太郎、いい男ですね〜。大物感たっぷりだけど生真面目な清潔感があります。
女性たちの着物姿も、なんともいえず艶やか。大川橋蔵は今でいえば嵐の櫻井君みたいな、目がきれいで知的なかんじ。東千代之介美空ひばりも出てるし、なんというオールスター競演でしょう。松島トモ子の子役も初めて見ました。山形勳はあらゆる映画に同じ顔で出ているのがすごい。私がリアルタイムで見てたのは1980〜90年代のはずなのに。
大河内傳次郎も出てるはず…と思ってよくよく見たら、山んばのような密偵がそうなんですか?このときもう60歳くらいだから主役はないにしろ、かつて自身が丹下左膳を演じて一世を風靡した人が、こんな端役でリメイクに出るとは?…と思っていたら、後半の立ち回り。ギョロリとした目玉。やっぱり伝次郎だ!

ストーリーはまぁ他愛ないし、きらびやかな画面に見とれてばかりいましたが、目に楽しい娯楽作品でした。