映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イングマール・ベルイマン監督「第七の封印」854本目

この作品は寓話的で難解なのは確かだけど、”むずかしい映画”という感じではありません。
キリスト教の信仰を主題として、批判でなく真摯に向き合う映画なのに、十字軍での戦闘から戻ってきた男は十字軍の空しさを訴えます。その男は死神に出会い、勝ったら命を助けてくれとチェスの勝負を挑み、その間無邪気なサーカスの家族や、悪魔を見たといって火あぶりにされる女といったさまざまな人々に出会いつつ、最後は自分の家にたどりつきます。

その自宅(城)がまた、長い間戦争に行ってた夫を迎える妻の冷たいこと・・・。
町にはとうとう黒死病がたどりつき、終末の予感が漂っています。
映画を通して、兵士が幸せそうだったのは、無邪気で親切なサーカスの家族にもてなされていたときだけです。彼宗教をかなり深く追求した人でないと本当には理解できない映画かもしれませんね。

筋と関係ないけど、ヨフっていう、目に見えないものが見えるサーカスの男を演じてる人が「えいごであそぼ」のエリックさんにソックリだ。彼は北欧系だもんなぁ。(スウェーデンじゃなくてノルウェーらしいけど)