映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アルフレッド・ヒッチコック監督「見知らぬ乗客」1055本目

ヒッチコックがハリウッドに行った後、1951年の作品。これは文句無しの傑作。
急に画質が良くなって、粘りつくような怖さが出てきました。これがハリウッド。私が「すごいけど苦手」だと思うヒッチコック映画の世界です。ああ、見続けるのが辛い…と思わされる演出力。

ヒッチコックの娘パトリシアがバーバラという重要な役を演じています。とてもいい演技。感受性の強い才媛で、人々の会話や気配から、事件の鍵となることをかぎとっていきます。

私はイギリス版とアメリカ版を両方収録した「両面一層ディスク」をレンタルして見たのですが、A面(アメリカ版)では結末に向かう緊迫の回転木馬の場面…の前あたりから画像がひどく乱れて、見逃した場面がいくつかあったんだけど、B面(イギリス版)ではちゃんと再生できてよかった〜。

結末の違いは…ストーリーの違いではなくて、イギリス版には最後に二人が仲良く列車に乗っていると知らない人に話しかけられる、という場面が追加されてます。あと、ブルーノが遊園地の男にちょっと下品な話を聞く場面があった。