映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

キム・ギドク 監督「嘆きのピエタ」1078本目

韓国のバイオレンス映画って、迫力があって見応えがあります。
ただ、「面白い恋愛ドラマ」であっても同じなんだけど、数分間に一度は必ずある「えっ!」というドキドキする展開、残酷な運命、激しい愛と絶望、といったものを贅沢にちりばめた、韓国作品の特徴も見えてきます。
人の激情をていねいに描くけど、そう感じるに至った事実関係の構築が、おざなりに見えます。気持ちはわかるんだけど、いまひとつ説得力が・・・、という感じです。

残虐さや過激さと、対極にある詩情が一人の人間のなかで共存している。という人物像は北野武的?
ただ、この映画では取り立て屋のなかの柔らかい部分が「最初からある」のではなく「人生で初めて激しく目覚める」ところがよくわからない。

この映画すごいなぁ、じーんと来ちまったよ、と思う一方、どこか違和感があるのは、自分のなかの柔らかい部分をうまく操作されてしまった感があるからかも。自分としては、それすら感じさせないくらい完璧に操作されてしまえば、こういう感想を書くこともないんだけど。

日本にはこれほどのマザコン映画はあまりないと思う。日本の男性は、母からもらった愛情を妻や愛人といった同世代の、性の対象になりうる女性に求めるからじゃない?

それにしても、だ!
韓国映画は「お母さん役」が美魔女ふうで若作りすぎる!年をとればとるほど、シワひとつなくてツルンツルンです。たまに年相応な人がいるとほっとする・・・。