映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

増村保造 監督「巨人と玩具」1239本目

1958年の作品。
この監督の作品は、「暖流」も「妻は告白する」も強烈に面白かったけど、この映画も面白かった。
激しさとスマートさのバランスがよくて、熱血というか”モーレツ”会社員もどこかスタイリッシュで上品な感じがする。美しさをちゃんと考えて作ってる。

宣伝合戦にまだ法規制がなかった頃の懸賞賞金は、「生まれてから死ぬまで全額」みたいなとんでもないのがあったんだな。目新しいキャンペーンガールを見つけてくるのも大変、育てるのも大変、引き抜くのも騙し合うのも。
そういう狐と狸の会社員たちを、冷たく批判するだけじゃなく、川口浩演じる若い宣伝マンは自分で街に出て行く。

野添ひとみがフレッシュで可愛く、川口浩は初々しくて素敵。(いいカップルだ)彼を誘惑するライバル会社の宣伝担当の女性を演じた小野道子という女優さん、大人の色気たっぷりですごいなぁ。こんな女性に誘惑されたらひとたまりもないだろうなぁ。と思ったら、長谷川一夫の娘なんだ。ご存命ならどんなにきれいなおばあさんになってるだろう・・・。

「社会派映画」なんだろうな。印象的ないい映画でした。