映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

セルジオ・ソリーマ 監督「狼の挽歌」1310本目

1970年のイタリア映画。
主役はチャールズ・ブロンソン。イタリア語喋れるんだ?と思ってよく見たら、どうも口パクです。ほかの出演者も。これがマカロニ・ウエスタンの作り方か・・・。この映画は西部劇じゃないけど。
とはいえ西部劇にも匹敵するストーリーの単純さとアクションの激しさで、派手に盛り上げます。特に冒頭のカーチェイスは、大きすぎる車でバハマの狭い道をぐんぐん走り抜けるスリルは、街なかの民家をすり抜ける「花やしき」のジェットコースターのようです。

一番の見どころはラストの透明エレベーターの中のシーンと、そこに至るスリリングな駆け引き。
ガラスが割れる小さな音と、男のあげるわずかな声以外まったく無音。一部スローモーションも交えながら、逃げ場のない銃撃が間欠的につづきます。冒頭のカーチェイスとこのラストのシーケンスだけでも、この映画を見る価値があるといえそう。歴史に残るエレベーターのシーン、なんじゃない?