映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ポール・ヴァーホーヴェン 監督「エル ELLE」1610本目

偉大なるイザベル・ユペール様の問題作ということで楽しみにしてました。公開初日に映画館で見るのなんて、私としては珍しいのです。

しかし予告編はミスリーディングですよね。「ファーゴ」が、怖い映画みたいに宣伝されてたのにほぼコメディだった、というのに近い、ジョークのような映画でした。この映画をワクワクしながら楽しみにしてた人たちはみんな「ピアニスト」を見ているとすると、彼女の変態っぷりは折り込み済み、それが見たくて行ってるわけですから、そういうシーンがあると「おおーっ!」とむしろ盛り上がってしまう。そういう”お約束”も含めて、彼女の演じる役の、ありえない逆境続きに1ミリも傷つかない強さ、突き抜けっぷりは爽快ですらありました。そういう楽しみ方をしてみてもいいのでは?と思います。

誰が犯人?という視点で見ると、それほど面白がれないかも。ある意味意外性はないから。
この監督、「氷の微笑」はまだこの映画との繋がりが見えるけど、「トータル・リコール」「ロボコップ」と聞くと、結局何が撮りたい人なんだろう?・・・でも終わってみたら、バイオレントで変態すぎてちょっと愉快でさえあって、なるほどロボコップなのかもしれません(ほんとか?)

真面目に見ない方が楽しいよ、この映画は〜。