映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クロード・シャブロル 監督「甘い罠」2864本目

ユペールせんぱいの、またひとつの怖い映画。でもあんまり怖くはなかったな。いつものように「悪い」けど。この映画は出生のミステリーというより、気に入らないものを抹殺し続ける強い悪女のドラマでした。

「私は悪に長けてるの」と、表面は善をよそおってる自分の告白など気取って見せるのですが、彼女の策略を見抜ける人は彼女なみには悪に長けてる(知恵が廻る、才能がある)わけで、問題は「ためらわずに悪を成してしまう、良心の欠落」だけです。なんか、極悪人が「私の心の闇なんて誰にも理解できないのよ」とか言うのって、他の人は自分よりばかだと見下してる感じで、かえって愚かであさましいかんじがする…。

そんなリアリティを感じさせる、安定の悪女っぷりでした。

「鬼の目にも涙」っすね…ユペールせんぱい…。