美しい映画だなぁ。おそらく監督の美意識なんだろうな。エティエンヌが訪ねて行く家の外径が美しい。エティエンヌを演じるグザヴィエ・ドランの表情も、彼を愛するマルティンの大きな青い目も。こういう、激しいものが何もなく、何もかもたゆたうような映画って好きなんだ。アラン・レネ的で。
結局のところ主役はマルティンの無表情な諦念なのかな。まるで絶望など見せないのは、妻を奪われた老紳士に「全能の神はいない、いたら飛行機事故など起こらない」と言われたときにもう信仰を失っていたから。エティエンヌを救いたかったけど、救われないことを選ぶ彼のことは置いて行くしかない。
(いじめが蔓延する学校にも、狭い宗教の世界にも、「外の広い世界」ってものが存在するから大丈夫、たぶん)
生き延びる男と女、死に急ぐ男と女、この映画では「裏切ったもの」が飛行機に乗り、裏切らなかったものと裏切られたものが残る。いろんな運命が待ってるけど、教訓は多分ない。神は気まぐれだから。
こういう静かな映画をゆったりと見るのが好きなんだよなぁ。
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