映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

深田晃司監督「よこがお」2378本目

これも、不思議と良かった。ストーリーは「イヤミス」ですよね、家族からの憎悪や嫉妬、マスコミや一般の人たちのネガティブな感情を浴びた主人公が、自分も爆発して最後鎮火する…。といってしまうと身も蓋もないけど。

筒井真理子って、いつも助演女優として出てる美人でエロっぽい年増女性、という位置づけがかなりカッチリしていると思ってたけど、 この映画では脇の甘さ、翻弄される人の好さ(っぽく見える)の魅力が満開でした。いつもは、ちょっとズル賢い役が多かったけど、この映画の彼女はもっと柔らかい。「筒井真理子劇場」というのは大げさな気がするけど、彼女のキャリアの中で一番重要な一本であり続けるんじゃないかな、という気はします。

捉え方としては、姉の基子(市川実日子)は市子(筒井真理子)のことがずっと好きだった、って理解で良いですよね?妹があんなことになったけど、黙っているからずっとそばにいて。彼女のようになりたい、彼女と一緒に暮らしたい。彼女をひどく傷つけることをつい言ってしまった。そしてその後、ばったり会った基子は市子のやっていたヘルパーの仕事についている。そんなふうに憧れることに説得力があるくらい、ヘルパーの市子はキレイで優しくて愛されていました。いやがらせって憧れの裏返し(ということも、ある)かな…。

よこがお DVD 通常版

よこがお DVD 通常版

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: DVD